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記事2002年6月23日 号 (7面) 
初任者全体研修会  東京中高協
新時代の私学教育酒井会長講話
素直な心、向上心、忍耐を強調
 東京私立中学高等学校協会(酒井A会長=東京女子学院中学高校理事長・校長)と東京私学教育研究所(堀一郎所長)は五月十四日、東京・内幸町の日本記者クラブで百六十人の教職員を集めて、平成十四年度初任者全体研修会を開催した。
 研修会では酒井会長の「新時代の私学教育」と題する講話と、BernardS.Barton玉川聖学院理事長・学園長および高島肇久・国際連合広報センター所長の講演が行われた。
 酒井会長は講話の中で、日本の学校教育の歴史、現代の教育課程、人間の存在価値などについて触れた。日本の学校教育の歴史の中では、「私立学校は庶民教育、国民教育の原点であった。特定の人たちのためにつくられた学校ではない」とした上で、「教育の多くは不易だが、流行も無視できず、私学も胸にとめておくべき、課せられた問題の一つだ」と語った。
 また、教育課程の点からは、子供に欠けているものとして素直な心、向上心、思いやり、忍耐心などを挙げ、「心の躾の面から実践を伴う指導が大切だ」と強調した。
 人間の存在価値の面からは「教師の人格を通して生徒に感銘を与えるのが本質で、人間性を磨いてほしい」と訴えた。
 講演会に先立ち、講演会の主催でもある社団法人科学技術国際センター専務理事の道正久春氏は「個性、感性表現、独創性、国際性がこれからのキーワードになる」とあいさつした。
 講演会ではBernardS.Barton理事長が「The Wonder of Humanity」と題して、高島所長が「国際人を育てよう」と題してそれぞれ講演を行った。高島氏はNHKで報道局長、海外企画局長、解説委員などを歴任、平成十三年同センター所長に就任した。
 高島氏は最近起きた北朝鮮人の、中国にある日本総領事館への亡命事件に触れ、「外国人とともに生きることを考える時代に、政治亡命者に門戸を閉ざす日本の姿勢は見直す必要がある」と言及するとともに、「日本人は物事を主体性を持って考えることができない」と強調した。また、アフガニスタン復興支援会議を成功させた緒方貞子さん、カンボジア和平を実現させた明石康・元国際連合事務次長の名前を挙げ、本当の意味での国際人とはきちんと自分の考えをまとめて話すことができる人、「これは日本人に一番欠けており、日本に求められていることだ」と指摘した。
 教職員には「生徒に教養を身につけさせ、人間として好奇心を持ち続けさせ、本、特に古典を読ませるようにしてほしい」と要望した。


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