こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2002年5月23日号二ュース >> VIEW

記事2002年5月23日 号 (1面) 
経営危機管理マニュアル公表
財務体質強化、経営状況分析など
私大連盟
 日本私立大学連盟(奥島孝康会長=早稲田大学総長)はこのほど、大学の経営危機管理マニュアル「学校法人の経営困難回避策とクライシスマネジメント」の最終報告を公表した。平成十三年度で約三割の大学で入学定員割れが生じるなど、私立大学をめぐる経営環境は日増しに厳しくなっており、経営危機回避のために役立ててもらおうと、同連盟の経営委員会がまとめたものだ。

 今回の報告書は(1)財務体質強化や地域との関係強化を訴えた危機回避のための予防策(2)経営・財務の状況判断の方策と財政的破綻へのプロセスを例示した危機管理マニュアル(3)設置者変更、合併、再生、破綻処理などの危機対処法の三つの柱から成っている。
 (1)のうち、財務体質強化については、収入源の多様化と外部資金導入の自立性強化を指摘。研究資金の導入、既存施設・人材の有効活用による社会貢献に対する見返りとしての基金・寄附金などによって、従来の学納金・私学助成金依存の体質を変えることが独自性につながるとしている。収入源の多様化を加速させるために、多くの人に理解されやすく、国際的にも比較可能な「時価会計」の導入を急ぐとともに、資金提供者へのインセンティブとしての税制の改正が必要だとしている。支出面では、財政硬直化を招くものとして、自前主義からアウトソーシングへの全面的見直しも提言。大学事務業務のアウトソーシングも求めている。(2)では、経営破綻に至るプロセスを初期(状況判断ミスと経営困窮)、中期(流動資金枯渇と借入金依存)、末期(資金のショート・資金調達不能・そして破綻)の三段階に分けたフローチャートと内部管理チェックリストを作成し、これらの資料を基に各大学がどのような経営状況にあるのか、大まかな自己分析ができるようにした。また、応募学生数・就学生数の減少、人件費比率の増加、流動資産比率の減少など、経営状況の悪化に対する具体的対応策の目安も例示している。
 (3)では特に破綻に関して多くのページを割いた。破綻処理の法的スキームや法的破綻処理にあたっての留意事項などを詳細に記している。
記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞