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記事2002年5月23日 号 (2面) 
日短協が入試広報担当者研修会
短大の活性化方策で事例発・
“新たな短大像”関根氏が講演
 短期大学における志願者減少傾向の中で、広報活動の根本的見直しが求められているとして、日本私立短期大学協会(川並弘昭会長=聖徳大学短期大学部理事長・学長)は五月八日から三日間、名古屋市中区の名古屋ガーデンパレスで「第三回私立短大入試広報担当者研修会」を開催した。

 研修会二日目には、短大二校から入試広報の現状や短大の活性化方策について事例発表があったほか、中央教育審議会臨時委員の関根秀和・大阪女学院短期大学長が「新たな短期大学像の確立をめぐる現状と課題」として話した。
 関根氏はいままでの日本の高等教育は、敗戦後の経済成長の一環として制度的に維持されてきたが、それが決定的に崩されようとしているとの認識を示した。その原因として、開発途上国の教育に対して貢献すべく制度をつくり変えなければならならなくなっていること、資本主義経済システム以外の原理をわれわれは持ち合わせておらず、〈市場原理〉にのっとって制度をつくり変えなければならなくなっていることの二点を挙げた。そのうえで、日本の大学は国際通用性を問われているとし、〈市場原理〉にのっとって、国際通用性を確保していく努力をしていかなければならない、と指摘。〈市場原理〉とは(1)公正な競争が行われるため、競争のルールをしっかり立てること(2)ルール違反に対して厳しいチェックを行うこと(3)ディスクロージャーを行うこと(4)セーフティーネットを社会の中に制度としてつくることだと述べ、短大関係者にとっては〈市場原理〉にのっとり、自分たちの仕事はどう在るべきか自己点検して、それをメッセージとして出していく、やりがいのある時代が来たと締めくくった。
 短大の入試広報の現状などについては、安永芳男・名古屋短期大学広報課長、と小比賀誠・富山短期大学教務部主幹が発表。安永氏は名古屋短大では全学改革委員会などが母体となって、さまざまな改革に取り組んでいると紹介しつつ、広報活動はこうした大学の改革を高校生にきっちりと伝えることが基本だと指摘。具体的方法については、地域の特性もあり、その大学の実情に応じて実施すべきだと述べた。小比賀氏は、富山短大では中長期の将来構想を検討するワーキンググループをつくったが、年間四十回にもわたる議論の末、コミュニティ・カレッジ機能の強化、教職員がコスト意識を持つこと、PR体制の確立の三点が必要だとの結論が出たことを明らかにした。これらを踏まえ、窓口業務の向上、学生満足度調査・授業評価の実施、インターンシップの導入などを行ったが、さらなる活性化に向けて取り組んでいきたい、と述べた。


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