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記事2002年4月3日 号 (4面) 
中高連理事会、評議会、堀越新体制で振興策強化
私立学校位置付け、公的支援柱に
税制改善、補助拡充 中央教育審議会の振興基本計画に意向反映
14年度事業計画
 日本私立中学高等学校連合会(堀越克明会長=堀越高校長)は、三月十二日、東京・市ヶ谷の私学会館で全国評議員会を開き、昨年十二月の全国理事会で次期会長に選出されていた堀越氏の会長就任を了承した。評議員会の承認で堀越会長の続投が正式に決定した。任期は四月から二年間。
 会長に就任した堀越会長は、理事、評議員の協力を得て難局を乗り越えたいと語り、また中高連の活性化に向けて役員体制の固まる五月以降、組織の見直しを検討する意向を明らかにした。
 続く全国理事会・全国評議員会合同会議では平成十四年度の事業計画、同収支予算が決まった。
 新年度の事業計画は、平成十三年度に引き続いて、私立高等学校等経常費助成費補助金(文部科学省)を中心とする私学関係国庫補助金の拡充対策、地方交付税による財源措置(総務省)の拡充対策、私立学校およびその生徒等の保護者に対する税制面の改善等を目指す。
 また私立学校の実態や私立学校に対する助成状況等の調査研究、諸外国との教育交流・情報交換、マスコミへの広報活動、日本私学教育研究所への研究・研修事業の委託等を実施する。
 さらに文部科学相の諮問機関である中央教育審議会が、現在、十年後を見通して、当面五年間の文教重点施策等を定める「教育振興基本計画」の検討と、教育基本法の見直しを進めていることから、中高連としても私学の要望事項が教育振興基本計画等に反映されるよう早急に要望事項を検討し、その実現を文部科学省等に働き掛けていく。
 具体的には新しく全私学連合内に設置された「私学教育振興基本問題検討委員会」(清成忠男委員長=法政大学総長)を中核として要望事項の検討、要望事項の同計画等への反映を目指すが、それと並行して私立中学高校独自の要望についても検討していく。三月二十九日には検討のための委員会の初会合を開いており、すでに検討作業は始まっている。
 三月十二日の合同会議では、九里茂三副会長が三月十一日に開かれた同委員会の初会合の模様と、三月五日に全私学連合が中教審の鳥居泰彦会長に提出した要請書の概要を説明した。要請書は、我が国の学校教育制度の中で私学の役割を踏まえた、私立学校の位置付けの明確化、国・地方公共団体における公財政支出、税制の在り方、公的支援の在り方の再検討を柱とするもので、初等中等教育に関しては、国公私立学校間の教育費負担の平準化、各都道府県の生徒収容計画等が、私立学校の存在意義やこれまでの実績に配慮したものとなるよう留意しての審議を要請している。
 この中で九里副会長は、「(教育振興基本計画の策定は、私立学校にとって)死命を決する大きなテーマだ。教育基本法に関しても教育者としてきちんと意見を持つべきだ」と語り、理事、評議員に両事項に関する意見提出を要請した。この日出席の理事からは、「教育の内容で子供、国民が学校を選べる方策が必要」といった意見や、「私学の独自性を損なうことのないようにしてほしい」といった意見も聞かれた。

中学校部会を新設
私立義務教育への公費支出推進

 十四年度の事業計画では、全国私立中学校長会の解散に伴い中高連内に中学校部会が新設され、中学校に対する私学助成の充実、小・中学校接続問題、中高一貫教育の実態の把握、在り方の検討、私立義務教育に対する公費支出の検討等をこれまで以上に行っていく。
 また法令等検討委員会では、教育改革に対する検討・対応等を、生徒収容対策委員会では将来の人口動態と高校就学者の予測に関する調査等、生徒減少期の生徒収容に関する課題の検討、定時制振興対策委員会では、苦境に立たされている定時制高校の振興、労働保険対策委員会では私立学校教員への雇用保険法適用問題についての対応(全私学連合と連携して)、通信制対策委員会では通信制高校をめぐる問題の検討、対策などを進める。
 諸外国との教育交流と情報交換は、今年で二十三回目となる環太平洋私学教育連合会(略称=PAPE)の総会への参加、各国との連携等を、広報活動に関してはマスコミへの広報活動、機関紙「私学時報」の発行等を行う。
 財団法人日本私学教育研究所への調査研究、研修事業の委託では、これまで通り、研究事業、一般研修事業、初任者研修事業を柱とするが、研究所に対する文部科学省の補助金が毎年大きく削減されていることから、研修事業等が見直される見通しだ。
 このほか全国私立学校審議会連合会や全国私学退職金団体連合会など関係団体との連絡提携もこれまで通り進めていく。
 また私立学校等をサポートする各種保険事業、大きな災害等に見舞われた私立学校を支援、私立学校の生徒に奉仕の精神を呼び掛ける私学ボランティア基金事業も促進する。












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