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記事2002年4月23日 号 (3面) 
梅花学園 地域担当理事を新設
学園の人的資源を地域に
地域の力で学園の発展へ

村山和一氏

 大学と地域との共生の重要性が指摘される中、大阪府茨木市の学校法人梅花学園(田中繁男理事長)は今年四月の理事改選に当たり、新たに地域担当理事として、前茨木市教育長の村山和一氏=写真=を迎えた。文部科学省が昨年十月発表した「学校法人経営の充実・強化等に関する報告書」の「特定業務専念理事」にもこうした例はなく、全国の大学法人で初めてのケースとみられる。
 同学園は明治十一年、キリスト教主義に基づく「愛の教育」を建学の精神に、女性の自立を使命として牧師・澤山保羅が創立した「梅花女学校」が前身。百二十四年にわたり「愛と思いやり」をはぐくむ「心の教育」で、自立した多くの女性の育成に努めてきた。現在、女子大学、大学院、短期大学、中学、高校、幼稚園までを擁している。
 日本私立学校振興・共済事業団は昨年二月発行の「月報私学」で「大学が社会的存在としての役割を果たしていくためには、社会・地域に対しての貢献を見逃すことはできない」と述べ、また日本私立大学連盟も「学校法人の経営困難回避策とクライシス・マネジメント」(平成十四年三月)の報告書の中で「大学=『ガウン』と地域=『タウン』が従来以上に良好な関係を持ち、互いに共生していくことはきわめて大切なこと」と指摘。いずれも私学新時代における学校と地域との共生の重要性を訴えている。梅花学園の今回の地域担当理事選任は、それらに沿ったものである。
 村山氏は今年六十八歳。茨木市総務部長などを経て平成元年十月から昨年九月まで茨木市教育長を務めた。「学園の人的資源を地域でも活用するほか、地域の人々の力で学園を発展させていきたい」と抱負を述べる。
 具体的な動きとして同学園から既に市の生涯学習センターへ講師八人を派遣しているが、今後は、学園が主催している公開講座を市の広報媒体を通じて市民に積極的に情報提供するほか、市立図書館や福祉の現場にインターンシップで学生を送り込むことや約百万冊に及ぶ市立図書館の蔵書を学園の教育活動にも利用できるようにすることなどを計画しているという。また、学園関係者が北摂地域の高校に学園の将来構想を説明するほか、学園の教育活動の一端が市民の目に触れる機会を多くしたいといい、「学園と市民との関係をさらに深めるよう努力していきたい。それが学園に対する評価につながる」と話している。
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