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記事2002年4月23日 号 (9面) 
新校長インタビュー (51) ―― 海城中学・高等学校
校長 和田 征士氏
新ジェントルマン育成
質実剛健・リベラルでスマート

和田征士校長

 海城中学・高等学校(和田征士校長、東京都新宿区)の建学の精神「国家・社会に有為な人材の育成」「質実剛健でリベラルでスマート」は今も受け継がれている。この建学の精神の下に、同校では、世界の人々と共存を図り、平和で豊かな社会を創造するリーダーとしての役割を担う人材を「新しいジェントルマン」と呼び、その育成に当たっている。
 和田校長は「新しいジェントルマン」の要素として、(1)フェアーな精神(2)思いやりの心(3)デモクラシー(民主主義)を守る態度(4)コミュニケーション能力この四つを挙げた。
 和田校長が始業式等で特に生徒に訴えたことは二つあった。最近の議員、官僚など、日本のリーダーといわれる人たちの中には倫理感が欠如している人たちがいることを説いた。
 「『Noblesse oblige(高貴な身分には道徳上の義務が伴う)』の精神が非常に大事です」
 和田校長が話したことの二つ目は、「厚生労働省の人口動態予測によると、平成七年をピークとして労働人口が平成五十年にはその三分の二に減少する」ことを指摘、「減少した分、外国人労働者に依存せざるを得なくなり、コミュニケーション能力が非常に重要になってきます。語学も大切だが、自分の気持ちを伝えようとする意欲が最重要です」と強調した。
 特色ある試みとして、中学三年生が取り組んでいる「卒業論文」には秀作が多い。この論文は三年間の研究の成果をまとめたもので、全員が四百字詰め原稿用紙に三十―五十枚程度書く。生徒は研究テーマを設定し、現地で取材し、最後にまとめる。この一連の作業を通して生徒は考える力や、表現力を身につける。
 「総合学習の一環ですが、素晴らしい論文が多く、大学の修士論文に匹敵する内容です」
 また学校行事が多彩である。中学一年全員が臨海学校(千葉県)を実施、体力と強靱な精神力を培う。一年生にとっては最初の試練となる。
 「四泊五日で実施しますが、泳ぎ切る達成感を味わい、自信につながると思います」
 和田校長は「今までよかったから、これでよしとせず、次代に向けて新しい要素をプラスしていくことを考えなければならない」と抱負を語る。
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