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記事2002年4月23日 号 (10面) 
中央学院が創立100周年を迎え更なる躍進
真の商業人育成で脚光
21世紀を担う私学教育

児玉 {髀コ氏


佐藤 義則氏

中央学院(児玉{髀コ理事長)、中央学院大学中央高等学校(佐藤義則校長、東京都江東区)は今年、創立百周年を迎える。同校は創立以来、学問と人間性の両面でバランスの取れた人材を育成してきたが、これを契機に教育内容、施設面などを一層充実させ、新たな歴史を刻み始めた。



真の教養と倫理ふまえた商業人育成
各界で著名人を輩出

 中央学院は明治三十五年五月、東京・京橋の霊岸島に中央商業学校として創設された。創立当時、中央商業学校は京都西本願寺の文学寮で学び、欧米を視察してきた仏教学者の高楠順次郎博士(校主)が中心となって、南岩倉具威(初代校長)、梅原融(主監)、宝閣善教(二代校長)、前田慧雲、佐竹観海、酒生恵眼、桜井義肇らの俊英の意志が結集して設立された。それは、立国の基礎である実業界に宗教的理念に培われた教養と、格調高い商業道徳を体得した有為な人材、すなわち「真の教養と倫理をふまえた商業人を育成する」という建学の理念の下に実業学校として出発した。この理念は、まさに国際的視野を身をもって体得した高楠博士の基本的な社会観であり、哲学であった。
 戦後、同学院は現在の中央学院大学中央高校(中央商業高校)を母体として、昭和二十六年には中央商科短期大学を、昭和四十一年には中央学院大学・商学部(千葉県我孫子市)を、昭和四十五年には中央学院高校(同)、昭和四十六年には徳山大学(昭和四十九年四月六日、学校法人中央学院から分離認可)を設立するに至った。
 その後、昭和六十年、中央学院大学は法学部を増設した。平成十三年十一月、中央商科短期大学は廃止された。現在では六万人を超える同学院の卒業生が各方面で活躍、著名人を輩出している。
 その中で、中央学院大学中央高校は平成十三年四月一日、発祥の地である中央区新川から江東区亀戸に校舎を移転、大幅な施設の拡充と充実を図った。
 同学院は商学部と法学部を有する中央学院大学、全日制商業科と通信制普通科を持つ中央学院大学中央高校、および全日制普通科を持つ中央学院高校を有する総合学園として発展している。今後、高校・大学の教育を総合的に考え、高校三年間はそのための基礎的段階ととらえ、大学と高校との教育内容での連携を一層深めていく方針だ。




実践通し知性と教養 全日制商業科と通信制普通科で
 ―中央学院大学中央高校―

 中央学院大学中央高校(佐藤義則校長、東京都江東区)は全日制商業科と通信制普通科を設けている。
 同校では(1)実践教育によって、社会で活躍するための知識技術を身につけさせる(2)適切な教科教育によって、知性をみがき、人間としての教養を身につけさせる(3)自主的な学習活動によって、能力や適性に応じた個性を伸ばす教育、この三つを目標に掲げている。

 「全日制商業科」
 一学年三学級という少人数教育の利点を生かし、画一的な教育を避け、「相互に思いやる気持ち」を大切にしながら、生徒一人ひとりに目の行き届いた教育を行っている。学校週五日制授業を導入し、一学年は全員が共通科目を学び、この間生徒は自分が将来進むべき進路を見極める。二学年から、進学コースと情報会計コースに分かれる。進学コースでは英語に、情報会計コースでは商業の専門科目に重点を置いて学習する。三学年になると、進学コースでは普通科目に重点を置き、情報会計コースでは商業科目を充実させて、各自の進路に合わせた学習を進めている。

情報処理など資格 大学へ優先入学も

 どちらのコースを選択しても、情報処理・簿記・計算事務の資格を取得できる。最近同校では、学習した商業に関する専門知識をさらに深めるため、大学へ進学する生徒が増加している。特に、中央学院大学に優先入学できる制度を設けており、毎年約三割を超える卒業生が推薦入学を果たしている。

 「通信制普通科」
 同校の通信制は、多彩な学習パターンを設け学習者が学習能率の向上を図っている。単位制、大検などに備えての科目履修、および中央学院大学への推薦入学が可能なことなどにこの特色がみられる。
 通信制は自宅で課題のレポートを作成し、学校へ提出することから始まる。スクーリング(面接指導)に出席し、教師から直接指導を受ける。各科目ごとに単位の認定を行うが、取得できなかった単位は次年度にやり直すことができるように配慮されている。三年以上在籍し、七十四単位以上を修得すれば卒業できる仕組みだ。たとえ、他校から転入学・編入学した場合でも前に在籍していた学校で取得した単位を、卒業単位として生かすことができる。
 学習パターンはコースによって平日学習コース(十四年度から)と一般学習コースに分けることができ、(1)平日学習コースでは、所定のスクーリング日以外にも平日登校し、指導を受けるもの、(2)一般コースでは A 日曜B 水曜 C 木曜 D 土曜 E 集中(宿泊)の五形態に分かれて亀戸、我孫子、新川(東京都中央区)など四会場でスクーリングが用意されている。




的確な進路指導―中央学院高校―
有能な社会人育成―中央学院大学―

 中央学院高校(内川敬三校長、千葉県我孫子市)は昭和四十五年創立され、「誠実で健康」「素直で明朗」「豊かな人間性と情操」を教育方針に掲げている。一学年では共通科目を履修、二学年からは「進学」「特進(文系・理系)」「英語」「スポーツ」の四クラスに分かれる。すべての教職員が進路指導を担当するという意識と自覚を持ち、一年次から進路適性、学力試験、進学補習、保護者会、教育相談などを実施、生徒一人ひとりの将来を見据えた的確な指導に当たっている。
 中央学院大学(大久保皓生学長代行、千葉県我孫子市)は「公正な社会観と倫理観の涵養をめざし、徹底した少数教育を通じて実力と創造力をそなえた有能な社会人の育成」を目的に、昭和四十一年に商学部商学科が、同六十年には法学部法学科が開設された。多彩なコース制を導入されているのが特徴。
 なお生田富夫学長が四月十三日、逝去されました。ご冥福をお祈りします。




創立百周年の記念事業に
大学、高校とも施設整備

 中央学院は記念すべき創立百周年を迎えるに当たり、新しい時代に即応し、社会の要請に応えるために、そして、脈々と流れている建学の精神を継承し貫くためにも、意義ある記念事業を推進し、新たな教育・研究体制の充実と施設拡充を計画している。大学と各高校は記念事業に合わせ、資金募集を行っている。
 (1)中央学院大学中央高校は十三年、中央区新川から江東区亀戸へ移転し、校舎に耐震工事を施し、十四年建物全体をリニューアルするとともに、新体育館も同校の敷地内に建設する。(2)中央学院大学は十八年に創立四十周年を迎えるため、同大学の敷地内に教育施設の建設および教育施設等の整備を図る。(3)中央学院高校は二十二年に創立四十周年を迎えるため、同校敷地内に新教室棟の建設を行う。これらの記念事業を実施するに当たり、ほとんどは自己資金、借入金で賄われるが、一層の教育施設の充実を目的として、十三年五月一日から十八年四月三十日まで五億円の募金を仰ぐことにしている。
 また、記念事業(創立百周年記念事業実行委員長 児玉{髀コ)としては次の三つが予定されている。(1)「学校法人中央学院物故者慰霊法要」は十月五日、東京・港区芝公園の大本山増上寺で執り行われる。(2)「中央学院創立百周年記念式典・祝賀会」は十月五日、東京・港区虎ノ門のホテルオークラで開催される。(3)「合同演奏会(中央学院大学、中央学院大学中央高校、中央学院高校)」は九月二十六日、東京・墨田区のすみだトリフォニーホールで催される。




仏教倫理による人材育成
中央学院理事長 児玉 {髀コ氏

 中央学院大学中央高等学校は著名な仏教学者、高楠順次郎博士らにより、「仏教倫理に基づく正しい商業人の育成」という理念の下に中央商業学校として明治三十五年に設立され、以来、各界に活躍する多くの人材を輩出してまいりました。
 振り返ってみますと、この百年間、歴代の理事長をはじめとする先輩諸氏が、生徒一人ひとりを大切に育ててきた学校教育、ならびに関係各位、地域社会の皆さまのご理解とご協力があったからこそ、この記念の年を迎えることができたのであり、心から謝意を表したいと存じます。
 この創立の理念は「公正な社会観と正しい倫理観に基づく社会人の育成」という精神の下に、現在でも本学院に受け継がれております。
 さて、私は経営の健全化を図り、生徒・学生が安心して勉学に励むことができる教育環境を整えることを使命としております。本学院は「教育は現場主義」および「高・大の七カ年教育」の二つを柱に、生徒・学生たちに対しては、でき得る限りの学びの環境を整えております。
 私が生徒諸君にお願いしていることは、学校で学んだことを一つひとつ積み重ねて、基礎を固める努力をすることであります。そして、生涯にわたって学習することを心掛け、本校の伝統を大事にしながら、自分の身の回りの人たちに感謝の気持ちを持ってほしいと願っております。本学院が各方面から愛され、尊敬される教育機関として発展していくことを願うものであります。




亀戸で新世紀へ第一歩
中央学院大学中央高等学校校長 佐藤 義則氏
 本校は平成十四年五月に創立百周年を迎えます。この記念事業の一環として、昨年四月に教育環境の改善を目指し、発祥の地を離れ、亀戸に移転、開校致しました。
 建学の精神を守り、多くの先人が築き上げてきた伝統を誇りとしながら、この地で「新しい光」となり、「新しい風」となって、新世紀への第一歩を踏み出します。「人を愛する心を持ち、人の痛みが分かり、思いやりの心を持つ人を育てること」を生活の基本目標とし、生徒指導に当たっています。学問と人間性の両面でバランスの取れた人材を育てる教育活動を目指しております。
 本校は全日制商業科、通信制普通科を設置しており、全日制ではさまざまな資格、特に簿記・情報処理・計算事務の資格を身につけて、生徒を社会に送り出せる体制を整えています。また最近、大学進学への希望者が増加してきたため、進学にも対応できるようにしております。両科とも特に英語力をつけることに重点を置き、今年度から全日制二年生がオーストラリアへ語学研修に出掛けることになっております。
 今後は地域に密着した教育を行い、地域と共に成長してまいりたいと願っております。その一環として、簿記・パソコンなどの講習会を地域の方々に開放する準備をしています。また、江東区ではボランティア活動が非常に盛んですので、この点でも住民の方々と一緒に活動できたらと考えています。今後さらなる発展を期し、教職員一同心を合わせて努力していく所存です。




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