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記事2002年3月3日 号 (1面) 
学制や教員養成モラル低下など検討へ
今後の改革の方向性めぐり討議
中教審基本問題部会が第2回会合
“目標の数値化必要” 振興基本計画審議が本格化
 新しい時代にふさわしい教育基本法のあり方と教育振興基本計画を検討している中央教育審議会の基本問題部会(鳥居泰彦部会長=慶應義塾学事顧問)は、二月二十五日、東京・虎ノ門の文部科学省分館で第二回会合を開き、教育振興基本計画についての本格的議論を開始した。この日は教育振興基本計画のうち、これからの教育の目標、教育改革の基本的方向を主要国と比較しながら討議、政治に関する教育や家庭教育のあり方等さまざまな意見が出されたが、教育の目標を数値化することを検討すべきだとの意見が目立った。
 
 第二回会合では初めに中教審事務局(文部科学省)がまとめた資料「人材養成・教育の目標について」、「諸外国の教育改革の動向」、「教育振興基本計画(柱立て)〈素案〉」等について説明。また鳥居部会長(=中教審会長)は、学校の荒廃やモラル低下の問題、学制、教育の地方分権、教員の養成問題、校舎の老朽化などハード面の問題、その中に収めるべき設備の問題等についての検討を要請した。教員養成に関して中教審は二月二十一日にこれからの教員免許制度について答申をまとめたばかりだが、鳥居部会長は「さまざまな問題が累積している。審議を続けていただくことは一向に構わない」とした。
 文部科学省が示した「人材養成・教育の目標」については、たたき台としたうえで、不易な教育の目標としては、▽自律心、公共の精神の育成▽豊かな心と健やかな体の育成▽伝統・文化を尊重する態度の育成▽基礎知識・基礎学力の習得▽個性、才能を伸ばす教育の実現を列挙。一方、社会の変化等にこたえる教育の目標では、▽創造性に富んだリーダーの育成▽柔軟な学校システム▽学校や教員への評価とその反映▽国際競争力のある大学の実現▽大学の教育機能の強化▽教育における国際化・情報化の推進▽科学技術・理科教育の推進▽家庭や地域の教育力の向上▽個人の生涯を通じた体系的生涯学習システムの整備を挙げている。
 文部科学省の説明に次ぐ自由討議では、「家庭がすべて学校に委ねることを考え直さないと。教育委員会は動きが悪い」「教育基本法の八条、九条がどういう機能を果たしているのか。政治との関わりを我々の問題として考えることが重要だ」「科学技術創造立国の議論は天才論に偏りすぎた」「規範的な価値をどう評価するか」「社会が教育に参加する風潮をつくる必要がある」などの意見が出された。また教育の目標の数値化に関しては、「英国ではかなり入っている。日本でも必要だ。チェックしやすい」「いじめを現在の三分の一にするとか、数値目標の設定は大事。数値目標が難しいものでもこのくらいということはいえる」といった意見が聞かれた。
 基本問題部会は今後、確かな学力の向上や豊かな人間性の育成、優れた教員の養成・確保など教育の目標を達成するための総合的かつ計画的に実施すべき施策等を検討していく見通し。
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