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記事2002年3月3日 号 (1面) 
大学設置認可で文科省が骨子案
質の保証システムで討議
将来構想部会
 中央教育審議会大学分科会の将来構想部会は二月十九日、東京・霞が関の文部科学省別館(郵政事業庁庁舎)で第六回部会を開き、大学設置認可の望ましい在り方について、骨子案に基づき討議した。文科省から提示された骨子案「大学の質の保証に係るトータルシステムの構築について」は、大学設置後のチェック体制の整備を図るとともに設置認可の弾力化を図るというのが基本的方向。設置認可については大学の設置・廃止など、大学の質を保証する上で事前規制が必要不可欠な事項に限定するとして、二つの案が示された。

 「案の一」は既設大学は弾力的に組織改廃ができるよう、学部・学科の組織ごとに認可対象としている現状を見直し、新たな水準・分野の学位を授与するためのプログラムの設置・廃止を認可対象とする、というもの。現在、授与している学位を変更しない範囲内でのプログラムの設置・廃止は届け出となる。「案の二」は既設の私立大学は弾力的に組織改廃できるよう、学部の学科を公立大学の場合と同様に認可対象から除外するなど、学部など基本組織以外の組織の設置・廃止は届け出とする、というもの。
 第三者評価制度については、大学の教育研究活動の状況について、国の認証を受けた第三者が定期的に評価し、一定の基準に達しているかどうかをチェック(適格認定)する制度を導入するとともに、大学全体を組織体として評価する、機関別第三者評価については、各大学に第三者評価機関による評価を義務づける方向で検討すると指摘。大学の専門性をさまざまな分野ごとに評価する、いわゆる専門分野別第三者評価については、高度専門職業人養成の大学院など一定の場合に限り、第三者評価機関による評価を義務づける、としている。
 また、大学設置後における国の直接的関与は、現行では、私立大学における法令違反に対する措置として行政指導以外には学校の閉鎖命令しかないため、閉鎖命令に至る事前の措置を導入する方向で検討する、としている。
 部会では、中間報告で第三者評価の義務づけが打ち出された点について「義務づけはボランタリズムという第三者評価本来の趣旨に反し、強制になる」と反論する意見が出た。「第三者評価には監査システムが必要だ」との指摘もあった。
 また、中間報告では、適格認定のための第三者評価を実施する機関に機関認証基準を示し、認証申請のあった機関のうち、基準を満たすものを第三者評価機関として認証することができる、としているが、部会で文科省はこれに関連して「認証を受けたくない機関など、いろいろな評価機関があっていい。複数の評価機関それぞれが切磋琢磨すればよい」との見解を明らかにした。
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