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記事2002年3月3日 号 (2面) 
英語教育改革 2回目懇談会
有識者が文科省に意見
好きな分野で学習
目に見える目標設定の必要性指摘
 文部科学省は二月二十日、東京・虎ノ門の東海大学校友会館で二回目となる「英語教育改革に関する懇談会」を開催した。
 この懇談会は、国民の英語によるコミュニケーション能力の飛躍的な向上を目指して、各界の有識者から、教育制度、教育課程等に係るものを含め具体的な推進方策を聴取するもの。学習者のモチベーションを高めるため、コミュニケーション能力を重視した英語力として、各学校段階で目指す具体的な目標や、英語教員が備えるべき英語力の目標値、ALT(外国語指導助手)等ネイティブ・スピーカーを学校の英語授業にどの程度活用することが効果的かなどを検討している。この日の意見発表者は映画字幕翻訳家の戸田奈津子氏、田村哲夫・学校法人渋谷教育学園理事長、吉田研作・上智大学教授、大釜茂璋・財団法人日本英語検定協会専務理事の四人。
 このうち戸田氏は、若者が「まつる」「くける」「かがる」の違いがわからなかった体験から、まずは国語力、話すべき内容を身に付けることの大切さを強調した。そのうえで英語教育に関しては、読む、聞く、話す、文法基礎をバランスよく、毎日、少しずつ楽しく積み重ねていくこと、各人の好きな分野を英語で学ぶこと、もっと個性を伸ばすカリキュラムや、クラス作りの必要性を訴えた。
 続いて田村理事長は、大学入試センター試験でリスニング試験を課すこと、企業は英語力を採用の基準とすること、英語教育の内容の工夫、優秀な教員の確保などが重要で、これまできちんとした日本語を身に付けながら、英語も修得した人物(日本人)の研究やコンピュータを活用した教育で英語版基本ソフトを使用することなどを提案した。
 吉田教授は、英語検定で何級といったように目に見える形での具体的な目標設定の必要性を指摘した。また韓国ではテストを目標にし、それに応えられるような教育が行われていることを紹介、学習指導要領をもう少し噛み砕く必要性を強調した。さらに英語教育では教科書を出発点に各教員の工夫が必要なこと、教員研修に関しては、民間研修、海外研修を含めて充実していくこと、研修成果が授業に生かされているかの評価の重要性を指摘した。
 大釜専務理事は、これからの英語教育のモチベーションとなるのは英語で話す楽しさで、そのためには少人数・習熟度別クラス編成が必要だとした。また具体策に関しては、民間の外国語学校の積極的な活用、公共施設案内の英語表示、センター試験でのリスニング実施などを提案した。
 一方、文部科学省の小野元之事務次官は、個人的見解としたうえで、高校を卒業したら英語で日常会話ができ、大学を卒業したら英語で仕事、あるいは議論できるくらいの目標設定が必要で、ALTが希望すれば日本の正規の教員への道を開くこと、各学校に一人はそうしたネイティブがいてもいいとした。
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