こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2002年3月3日号二ュース >> VIEW

記事2002年3月3日 号 (2面) 
青少年の奉仕・体験活動推進
中央教育審議会の審議動向
単位の認定を積極的に推進
NPOに関する科目開設も 中間報告検討
 青少年の奉仕活動・体験活動の推進方策について検討してきた、中央教育審議会の生涯学習分科会は二月十九日、東京・虎ノ門の文部科学省分館で第十四回会合を開き、同分科会ワーキンググループがまとめた中間報告(素案)について話し合った。中間報告では青少年の奉仕活動・体験活動の必要性・意義を訴えるとともに、初等中等教育段階における学校内外における青少年の奉仕活動・体験活動の推進、十八歳以降の個人が行う奉仕活動の奨励・支援などを求めている。委員からは特に中間報告の内容面で異論を唱える声は出なかった。

【生涯学習分科会】

 中間報告ではまず、個人一人ひとりが経験や能力を生かして社会的な活動を積み重ねていくことができる社会的な環境をつくり出していくことが、個人が支え合う「新たな公共」をつくり出すことになる、と奉仕活動の意義を強調。そのうえで、初等中等教育段階の青少年、十八歳以降の個人それぞれが奉仕活動・体験活動に取り組むべきであるとして、その推進方策を打ち出している。
 初等中等教育段階では、▽活動のコーディネートの窓口を明らかにするとともに、全教員が協力して取り組むための校内推進体制の整備▽地域の協力を得るための「学校ボランティア(学校協力)委員会(仮称)」▽ボランティア活動を積極的に評価する高校入試の工夫や「ヤングボランティアパスポート(仮称)」の作成などの推進方策を指摘。
 十八歳以降の個人については、大学、短期大学、高等専門学校、専修学校などにおいて、学生が行うボランティア活動を積極的に奨励するため、正規の教育活動として、ボランティア講座やサービスラーニング科目、NPOに関する専門科目の開設やインターンシップを含め学生の自主的なボランティア活動の単位認定を積極的に進めるべきだとしている。
 委員からは「奉仕活動を行うきっかけづくりは大切。発達段階における奉仕活動の評価が適切に行われる仕組みについても触れるべきだ」「初等中等教育段階で大人と一緒に奉仕活動・体験活動に取り組む“原型”がないことが問題である」「個入の自発性を活動の“前提”とすべきである」などの意見が出た。
 また、中間報告では公務員や教員のボランティア活動を奨励するため、研修の一環としてボランティア活動を位置づけることやプログラムの開発を検討すべきだとの指摘がなされているが「公務員、教員以外の社会人にも強いメッセージで奨励すべきだ」との意見が出た。

米英のパートタイム学生
アメリカ短大で64%、イギリス25歳以上86%

 中央教育審議会は二月二十一日に三つの答申を取りまとめたが、この中の一つ「大学等における社会人受入れの推進方策について」では、学生が個人の事情に応じて修業年限を超えて正規の学生として在学する「長期履修学生」制度が新たに創設された。長期履修学生を受け入れるのは、大学、短期大学、高等専門学校、専門学校。大学は高等教育に対する多様な学習需要に幅広く応えるという観点から、短期大学は地域に密着して生涯学習機会を幅広く提供するという観点から、それぞれ長期履修学生の積極的な受け入れが期待されている。
 海外ではこうした学生はいわゆるパートタイム学生として既に存在している。アメリカとイギリスにおけるパートタイム学生の現状を見てみたい。
 一九九七年現在で、アメリカにおけるパートタイム学生とフルタイム学生の構成比は、パートタイム学生六百二万三千人(四二%)、フルタイム学生八百三十二万二千人(五八%)。アメリカの場合、フルタイム就学は通常の修業年限内に所定の科目について一定の単位数を取得する就学形態を言う。一方、パートタイム就学は一定期間において規定の履修量(取得すべき単位数)がフルタイム学生の七五%未満である場合を言う。パートタイム学生は所定の科目について単位を取得すれば学位が取得できる。

パートタイム学生の82%が学位の取得を希望
アメリカ

 アメリカについて課程別にパートタイム学生の構成内訳を見てみると、学部レベル(四年制)では、フルタイム学生が七七・八%、パートタイム学生が二二・二%。パートタイム学生百五十一万七千人のうち、百二十四万九千人(八二・三%)までが学位取得希望在籍者だ。一方、短大レベル(二年制)では、フルタイム学生三六・五%に対してパートタイム学生は六三・五%の比率。パートタイム学生三百四十七万五千人のうち、学位取得希望在籍者は二百二十二万二千人(六四・〇%)、その他単位取得コース在籍者が百二十五万二千人(三六・〇%)となっており、学部レベルのパートタイム学生に比べ、単位取得コース在籍者が多いのが特徴だ。全課程を通じたパートタイム学生の年齢別構成は、三十歳以上が二百八十三万千人(四六・七%)と約半数。次いで二十五―二十九歳が百十四万四千人(十八・九%)、二十二―二十四歳が八十一万人(一三・四%)の順で多い。
 イギリスでは一九九八年現在、パートタイム学生が七十八万七千人(三七・八%)、フルタイム学生百二十九万四千人(六二・二%)。イギリスの場合、フルタイム在学者は全日の学習を前提とするコースの在学者で、パートタイム在学者は一日の一部、あるいは週の数日を学習にあてるコースの在学者とされている。
 パートタイム学生七十八万七千人のうち、五五・六%にあたる四十三万七千人までが非学位取得課程の在学者。次いで大学院レベル課程の学生が二十五万四千人(三二・二%)。パートタイム学生の年齢別構成は、二十五歳以上が六十七万五千人と八五・八%までを占めている。
記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞