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記事2002年3月3日 号 (2面) 
“就職戦線への取り組みと方向性”
私大協が研究協議会
避けたい早期離転職
オリエンテーション早目に


日本私立大学協会(大沼淳会長=文化女子大学理事長・学長)は二月二十六日、東京・市ヶ谷の私学会館で会員大学の就職担当者ら約二百五十人を対象に、「就職問題に関する研究協議会」を開催した。
 同協会就職問題委員会の喜多信雄委員長(近畿大学就職部部長)が「二〇〇二年度就職戦線への取り組みと今後の方向」と題して発表。喜多氏は学卒者が早期に離転職しないよう指導するとともに、低学年からのオリエンテーションにも力を入れるべきだ、などと述べた。
 冒頭、担当理事の豊田耕作常務理事(千葉工業大学理事長)は「雇用環境はますます厳しくなっている。低学年からインターンシップやキャリアエデュケーションを行うなど、単なる就職試験対策でなく、学生生活全般にわたって学生を支援して、よい人材を育成しなければならない」とあいさつ、協議会に参加した就職担当者らを激励した。
 喜多氏は学生にとって就職とは、ライフデザインの設計と自己実現だと指摘。大学の新規学卒者の三年目までの離職率が依然として高いことに言及し、大学卒男子六十歳までの生涯賃金の推計値を示しつつ、安易な離転職は避けるよう指導すべきだと強調した。当面の景気認識については、デフレ経済で景気後退が鮮明だとし、昨年十二月の失業率が五・六%で過去最悪を記録、同月の有効求人倍率は○・五一倍で地域格差も激しく、雇用情勢は厳しいと分析した。
 こうした中、学生の就職活動は一層早期化し、企業側には「倫理憲章」を尊重せず、秩序を守ろうとするモラルがない、と苦言を呈した。学生を就職させたい企業の条件として▽大学生活の成果を生かせる職業・業界・企業▽やりがい、働きがいのある企業など十七点を挙げ、就職担当者間でこうした条件について共通認識を持つことが必要だとした。
 また、特にTSR、帝国データバンクの信用情報、法人申告所得ランキング(国税庁)などを通じた企業情報の収集にも力を入れるべきだと述べた。低学年からのオリエンテーションの必要性も指摘。モチベーション・レベルを上げ、充実した学生生活を送らせるよう指導すべきだとした。

多様な人との交流
説明能力など基本

 協議会ではこのほか、日本アイ・ビー・エム株式会社人材管理担当の小須田秀厚氏が同社の人事施策について講演。
 同社の人事施策は発揮能力主義、ラインによる人事管理、公平な処遇を基本的考え方としており、プロフェッショナル専門職の人材育成、目標管理による業績評価、組織のフラット化と権限委譲、社内人材公募制度などを実施していると紹介した。
 特に新卒者に求める資質としては、多様な人とコミュニケーションできる能力、スキルアップに努める姿勢、難しいことを分かりやすく説明できる能力の三つが基本であるとした。また、一九九八年からインターンシップに取り組んでいるが、地域性の解消などの課題解決に努めていきたいとした。
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