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記事2002年2月3日 号 (8面) 
ユニーク教育 (104) ―― 東海学園高等学校
10年前から「土曜講座」
共生の精神を教育理念に
男女共学、高大一貫教育を実践


 東海学園高等学校(星野清明校長、名古屋市天白区)は浄土宗の教えによる「共生(ともいき)」の精神を教育理念に掲げ、昭和三十七年に東海女子高等学校として出発し、その後、同学園が大学(経営学部、人文学部)を設置したことで、高大一貫教育が整ったのを機会に平成十二年、男女共学に踏み切った。
 この「共生」の精神とは「人と人、人と自然、人と社会、すべてが共に生き、共に生かされていることを自覚し、その中で真の生き方を追求していくこと」をいう。
 開校以来、同校ではこの理念の下にしなやかな知性と豊かな感性を備えた人間の育成に努めている。
 十年ほど前から始めた「土曜講座」は、まさに「共生」の精神を表した考え方に基づくもので、生徒は身の回りのことはもちろん、自然のこと、社会のことなど、興味・関心のあるさまざまな問題をテーマに学習し、体験している。
 「本校の『土曜講座』は愛知県下では最も早くから始められたと思う」(小野澤重治教頭)。
 同校には、同学園大学を目指す一貫(普通)コース、他の四大・短大や、芸術・医療・保育専門学校など多様な進路を目指す明照(普通)コース、それに、国公立大学や難関私立大学への進学を目指す「飛翔コース」(特進)がある。
 「土曜講座」は一年生が全員参加、二、三年生が自由参加で行っている。一年生「明照」および「一貫」コースは前期(三回)、後期(三回)から一講座以上または通年講座(六回)から一講座選び、全日程必ず参加する。また、一年生「飛翔コース」と二、三年生は原則として自由参加する。十三年度は前期、後期合わせて四十五講座が実施された。
 講座には次のようなものがある。「掃除で奉仕」「エコショップを訪ねて」「日本史フィールドワーク」「百人一首を楽しむ」「映画で知ろうアジア事情」「数検に挑戦」「三級きもの講師資格認定座」「マフラーを編もう」「保育園児と遊ぼう」「富士山登山」「相撲体験」「美術不思議発見」など。
 この中で、二年目となる「三級きもの講師資格認定講座」は小林豊子きもの学院から講師を招き、この講座の受講を修了し免許試験に合格すれば、「三級きもの講師」の資格が取得できる。着物の着付け、帯結び、体型の補正、マナーなど厳しいカリキュラムで行われた。十三年度もほとんどの受講生が一年間頑張り通し、免許試験に合格し資格を取得した。
 また、「相撲体験」講座では、土俵で実際相撲をとってみたり、プロのけいこを見学したり、ちゃんこ鍋を作って食べてみたりした。「映画で知ろうアジア事情」講座では、香港映画、韓国映画、中国映画の中で、より優れの一本を鑑賞し香港、韓国や中国を理解した。「保育園児と遊ぼう」講座では、生徒会主催で保育園児と遊ぶための企画を行い、保育園で紙芝居、人形劇、おもちゃ作りなどに挑戦した。「富士山登山」講座では、約六時間半の登山で絶景を楽しんだ。
 同校では十四年度から完全学校週五日制を実施するが、「土曜講座は続けることが決まっている」(小野澤教頭)。
 部活動にも力を注いでいるのが特徴の一つだ。
 全国レベルにあるクラブはソフトボール部、スケート部、ハンドボール部、なぎなた部やアーチェリー部などがある。今年のソルトレークシティー・オリンピック大会のフィギュアスケートには同校の卒業生、恩田美栄さん(十二年度卒、現東海学園大学一年)の出場が決まっており、過去には同じくフィギュアスケート選手だった伊藤みどりさん(昭和六十三年卒業)もいる。


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