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全私学新聞

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記事2002年2月3日 号 (2面) 
多様な生徒受け入れ意欲喚起
研究協議会で豊川高校が実践報告
全私定協
 全国私立高等学校定時制連絡協議会(吉澄哲惠会長)はこのほど、東京・市ヶ谷の私学会館別館で研究協議会を開催した。研究協議会に先立って吉澄会長は、公立の定時制高校ではここ一、二年、生徒数が増加するなど“光”が見えるものの、私学人には見えてこないことなどを指摘し、特色ある教育づくりへ、これまでにも増して積極的な取り組みを促した。
 この日の研究協議会では、豊川閣妙厳寺(豊川稲荷)の社会活動の一環として、地域の勤労青年に教育の機会を提供するために創設された豊川学堂を前身とする豊川高校(菅沼昌人校長、豊川市)の白井勝己教諭が、定時制課程のユニークな実践を報告した。
 白井教諭の報告によると、同校定時制課程の生徒は修行僧、ブラジルやペルーといった外国人労働者の子弟、公立高校中退者などさまざま。そうした生徒に「なるには講座」(例えば現職の看護婦がその職種に就くためにはどうしたらよいかを解説)、「ときめき講座」(例えば七宝焼きやパソコン講座など教師もときめく講座)、漢字大会(漢字学習)、生徒会中心の行事運営、週四日の進学補習、英数の級制度などを通じて、学校に来るのが楽しみと感じてもらえるよう努力を続けた結果、少しずつ成果が上がってきたこと、喫煙はいたちごっこだが、生徒指導にかけていた時間が部活動などに振り向けられるようになったこと、しかし教員は猫の手を借りたいほどに忙しいことなどを報告した。
 こうして成果は上がっているものの、不況によりアルバイト先が減少、就職でも定時制に在学していることが喜ばれなくなっていること、とび職や大工といった働き口はあるが、現場が転々と移り、学校に通うことができなくなってしまうなど、学業と仕事の両立が難しくなっていることなどが報告された。しかし不登校生、高校中退者、外国籍といった多様な生徒を今後も積極的に受け入れ、例えば外国籍の生徒を通じて国際理解教育を進めるなど教育に当たっていきたいと語った。
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