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記事2002年2月3日 号 (2面) 
小学校から英語学習必修化を
英語教育改革に関する懇談会開く
文科省 英語コミュニケーション迫ヘ向上で意見聴取
アジア諸国に大きく立ち遅れ 改革の必要性強調
 文部科学省は一月二十一日、東京・霞が関の東海大学校友会館で「英語教育改革に関する懇談会」の初会合を開いた。この懇談会は、国民の英語コミュニケーション能力の飛躍的向上を目指し各界の代表者から教育制度、教育課程等に関する具体的な改革案を聴取するためのもので、今回を含めて五回(月一回)程度開かれる。

 初会合では、槙原稔・三菱商事会長(経済団体連合会副会長)、明石康・日本予防外交センター会長(元国連事務次長)、ウイリアム・カリー・上智大学長、小池生夫・明海大学教授(大学英語教育学会前会長)の四人が意見発表したが、四人とも我が国の英語コミュニケーション能力がアジア諸国と比べて大きく立ち遅れていることを指摘したうえで、小学校からの英語学習の必修化や、英語による授業の実施、大学入試センター試験におけるリスニング試験の実施などドラスティックな改革の必要性を強調、文部科学省に実施を迫った。
 これに対して文部科学省の小野元之・事務次官は、個人的な見解としたうえで高校卒業時には英語を話せ、大学の卒業時には英語でディベートができるくらいの能力を身に付けることを想定していること、省内で合意が得られれば、今年策定予定の教育振興基本計画に必要な施策を盛り込みたいと語った。また遠山敦子・文部科学大臣は全国に大学が約六百七十校あるにもかかわらず、授業をすべて英語で行っている学校がほとんどないことなどを指摘して、我が国の英語教育への危機感を明らかにした。
 四人の発表者のうち槙原氏は、英語教育の目標として、中学ではサバイバルのための英語力を身に付け、高校では得意分野を伸ばし、大学では自己主張が可能なレベルが望ましいこと、政府は英語力に関するミニマムレベルを明確化し、それ以上は学校の判断に任せることを提言。また明石氏は、我が国の英語力は明治時代に比べても低下していることや、目標に関する国民的なコンセンサスづくり、英語を話す機会の少ない中で動機付け、環境作りの必要性などを指摘し、英語の持つ国際的公用性、逞しさを無視してはいけない、とした。続いてカリー学長は英語で学ぶ大切さを強調、上智大学の比較文化学部ではすべての講義を英語で行っていることを紹介した。改革案に関しては、能力別のクラス編成は効果があること、小学校の教員に外国で学べる機会を作ること、高校教育に対してはコミュニケーション能力の重視、ネイティブ教員の積極的活用などを求めた。
 小池教授は小学校からの英語学習の必修化、スーパー・エレメンタリー・イングリッシュ・スクールの創設、大学入試センター試験での英語ヒアリング試験の実施などドラスティックな改革を一大決心で進めるよう文部科学省に要請した。


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