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記事2002年2月23日 号 (2面) 
大学院での高度職業養成討議
中央教育審議会の審議動向
専門職学位過程の新設提起
第三者による継続的な的確認定も
〔中教審大学院部会〕

 中央教育審議会大学分科会の大学院部会は二月十四日、東京・霞が関の文部科学省別館(郵政事業庁庁舎)で第六回部会を開き、大学院における高度職業人養成について討議した。
 文部科学省は現行の専門大学院をベースとした専門職学位課程(仮称)を設けるべきだとする論点案を示したが、委員からはこれに賛同する意見がある一方、「現行の専門大学院をベースに考えることは難しい」などとの意見も複数の委員から出された。
 文部科学省が示した論点案では、まず、大学院の役割は、(1)基礎研究を中心とした学術研究の推進および研究者の養成(2)高度の専門的能力を持つ人材の養成および社会人の再学習の機会の提供の二つだと指摘。高度専門職業人養成に特化した教育を行う専門大学院制度が平成十一年度に創設されたが、修了要件および教員組織についての条件が高度な職業教育を行ううえで十分に機能していない分野もあるのではないかと考えられるとして、高度専門職業人として必要な知識・能力を修得したことを社会的に証明する適切な学位の創設を課題として挙げた。今後の方向としては、現行の専門大学院をベースとして、高度専門職業人を養成するという目的に合致した大学院の課程として「専門職学位課程(仮称)」を、それに対応する学位として、これまでの学位(修士・博士)とは異なる「専門職学位(仮称)」を、それぞれ新設する必要があるとした。また、教育水準の維持・向上のため、第三者による継続的なアクレディテーション(適格認定)を受けることで、変化に応じた柔軟で質の高い教育の提供が可能になると指摘している。こうした論点案に対して、委員からは「専門職業人教育は細分化されている。多様な教育ニーズに応える形で、こういう制度をつくって育てていくべきだ」と評価する意見の一方で、「現行の専門大学院をベースに考えることは難しい。エンジニアリング、教育、医学といった専門職業人が一般の大学院で養成されているのが現状。学問領域と職業との関係をアメリカ・モデルで考えることは妥当でない」との指摘があった。「日本では特別な職業にリンクした学位は必要ない。いままである伝統的呼称でいい」と、学位新設には明確に異を唱える意見も出た。このほか「日本の大学院制度全体の在るべき姿を考える必要がありはしないか。また、それが大学教育にどういうインパクトをもたらすか考えた方がいい」とする指摘もあった。
教免制度の在り方答申案を審議
{��部会長が修正点を報告

〔中教審初等中教育分科会〕

 中央教育審議会の初等中等教育分科会は二月十二日、東京・霞が関の霞が関東京会舘で第四回分科会を開き、今後の教員免許制度の在り方についての答申案を審議した。
 今回の答申案では免許更新制の導入が見送られたことについて「教員の資質向上にすり替えられた感じだ」といった指摘があったものの、基本的にこれを了承。この日、委員から出された意見は会長、教員養成部会長が集約することとなった。
 今後の教員免許制度の在り方については、昨年十二月に審議の中間報告が公表され、一月二十九日にはその中間報告に対する関係各団体からの意見を踏まえ、答申案として若干の修正を行った。高倉翔・教員養成部会長(明海大学長)は主な修正点として▽教員免許状の総合化・弾力化に関して、教員の複数校種での「双方向」の交流を促進すべきだとした▽教職十年後の研修を機会に教員が自己評価することによって、自らの適性や得意分野を再認識すべきことを強調した▽信頼される学校づくりのために、教員が教員以外の専門性を持った職員とともに組織として力を発揮することが重要であるとした▽教員個々の力量の発揮や学校の取り組みは校長のマネジメント能力の力量の表れであるとしたなどの点を報告。
 委員からは答申案について、免許更新制の導入が見送られたことに関連して「教員の資質向上とすり替えた感じで新鮮味がない。更新制については今後どこかで検討すべきだ」といった意見が出たほか、「学校現場に来てから上位免許取得というシステムになっていない。学歴イコール上申制という視点でしか考えられていないのが問題。教員養成との関連で免許制度を検討してほしい」との指摘があった。また「現場で努力している教師も少なくない。彼らを評価する文言を入れるべきではないか」との意見なども出た。
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