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記事2002年2月23日 号 (2面) 
「国立大学法人」における産学官連携
科学・学術審が審議概要
組織、人事など体制整備
 「国立大学法人」における産学官連携の在り方について審議してきた、科学技術・学術審議会の技術・研究基盤部会産学官連携推進委員会(末松安晴主査=国立情報学研究所長)はこのほど、審議の概要を公表した。概要では、産官学連携の推進を「国立大学法人」にとって重要な役割として位置づけ、その戦略的な体制整備を求めている。
 組織の在り方としては「国立大学法人」が(1)大学内外を橋渡しするリエゾン機能(2)法務・会計実務などの契約機能(3)特許の取得、ライセンスにより研究成果を支援する(TLO)機能(4)大学の成果や資源を活用して将来の起業に結び付ける、初期段階のインキュベーション(育成)機能に基づく活動を業務として実施できることが望ましいとした。技術移転事業は「国立大学法人」がその業務の一環として内部に技術移転関連組織を置く場合と外部TLOなどに業務委託する場合の両方をできるようにすべきだと指摘。また、担当副学長の下にリエゾン・契約担当部署を置くなど、大学における産学官連携活動の意思決定過程は、教学のそれとは区別すべきだとしている。
 人事面では、大学の判断により、週一日(平日)程度は定期的に兼業ができるルールを確立。産業界など外部から専門性の高い人材を受け入れるために、業績に応じた給与体系などのインセンティブを設けること、各大学の判断によって産学官連携に携わる専門的な職を設けることが期待されるとした。教職員の身分は非公務員型への移行の可能性を含めて検討すべきだとした。
 財務会計面では、▽受託研究や共同研究は運営費交付金収入とは別会計で区分し、産学官連携への組織のインセンティブを確保▽研究・教育面の産学官連携で、国際的な共同研究、契約における特許の帰属、施設設備の使用などは大学の判断によって柔軟に取り扱う▽現在、国立大学に設けられている税制上の優遇措置は引き続き存続するとの提言を行っている。
 また、地方公共団体から「国立大学法人」への施設提供など、地域の産学官連携における大学の積極的な役割、業務やそのための制度改善についても検討を求めている。
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