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記事2002年2月13日 号 (2面) 
「全国統一試験」65%の保育士要望
全国保育士要請協調査
保育士試験継続に大半賛成
保育士試験制度の課題と方向性
 全国の認可保育所に勤務する、保育士試験によって資格を取得した保育士の多くが、保育士試験を全国統一試験にすべきだと考えていることが、「全国保育士養成協議会」(清水司会長=東京家政大学理事長・学長)の現代保育研究所が行った調査の報告書で明らかになった。また、保育士試験の継続については多くが賛成だが、若い世代の試験保育士は職業選択の幅の確保を主な理由としていることも分かった。
 同協議会は保育士養成課程を持つ大学や短期大学などで構成する団体。保育士資格の取得には、保育士養成校卒業と保育士試験合格という二つの方法があるが、保育士試験には、例えば「保育実習」に見られるように、保育士養成校のカリキュラムと保育士試験科目との間に不一致がある、都道府県単位で実施されていることにより試験問題の難易度および合格率に格差がある、などの問題点が指摘されている。
 調査結果からは、保育士試験の科目と養成校で学習する科目とが、科目名でも科目数でも一致しないことについて、三二・一%の保育士が「基本的な科目だけは同じにすべきだ」と回答。都道府県による試験難易度の差については、三四・六%が「差があると思った」と答えている。保育士試験を全国統一試験にすることについては、「そう思う」(六五・〇%)が、「そう思わない」(八・八%)を大きく上回った。「全国どこで受験しても同じ試験であることは平等性を保障する上で重要だ」「統一試験なら保育士の知識や技能の水準が全国的に一定以上に保たれる」といったことがその理由のようだ。保育士試験制度の継続については七七・四%が継続に肯定的な回答を行った。しかし、その意味づけは世代によって異なり、四十〜五十歳代のベテランの保育士は資格取得の機会の保障、二十歳代を中心とする若手は職業選択の幅の確保を理由として挙げた回答(自由記述)が目立った。こうした回答を受け、報告書では「保育士養成課程を備える大学が急速に増えつつある中、保育士試験の役割は問い直されざるを得ない」と結論づけている。保育士試験において養成校が果たす役割については「保育現場の実習に関する機会の提供」(七一・九%)、「試験科目についての学習の援助」(六二・七%)という回答が圧倒的に多かった。養成校に対しては「養成校の蓄積を生かして、試験保育士のために基礎研修などの機会をつくってほしい」など、研修機会の提供に関する要望が多く、報告書では「試験保育士には、受験時に現場実習の経験を義務づける、初任者研修の機会を保障するといった制度が必要である」と指摘している。
 調査は昨年二月、全国十五地区を調査対象地区として設定。それらの地区の認可保育所に勤務する保育士試験により資格を取得した保育士を対象に実施し、二百十七人から有効回答を得た。
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