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記事2002年12月3日 1874号 (1面) 
文部科学省 大学改革の進捗状況
私立大学
29%が第三者評価
企業家育成教育130校で実施
 昨年度、私立大学の二九%が外部の第三者による評価を実施していたことが、このほど文部科学省がまとめた「大学における教育内容等の改革状況について」で明らかになった。平成十二年度に全国の国公私立大学の三三%に当たる二百十七校が外部評価を実施していたが、昨年度には二百六十四校(三九%)へと増加していた。
 平成十三年十月現在で、外部評価を実施していた私立大学は百四十三校、国立大学では九十八校、公立大学二十三校という結果だった。このうち実施結果を公表しているのは、私立大学八十九校、国立大学八十校、公立大学十六校だった。学外有識者の意見を反映させるための諮問機関などを設けている大学は九十九校(十二年度)。このうち私立大学は三十四校だった。教員の教育面での業績を評価する取り組みも進んでいる。私立大学八十九校、国立大学三十九校、公立大学八校でこうした取り組みを実施していた。例えば、東京国際大学における評価項目は、講義、演習、実習、語学科目、研究指導別に、実施方法に関する学生の評価や学生の授業に対する取り組みの自己評価など。各教員には担当科目のアンケート集計結果をフィードバックし、教員個々の授業改善の参考のために活用。また、副学長が中心となり、全学的にアンケート結果をまとめた報告書を作成し、全教員に配布、学生に対しては概要としてまとめたものを掲示している。
 自己点検・評価は国公私立大学全体の九二%に当たる六百十六校で実施。私立大学では四百五十六校で実施し、このうち三百五十七校が実施結果を公表している。さらに実施結果の第三者による公表を行っている私立大学は百十五校だった。関西大学の十一、十二両年度の自己点検評価・報告書では、新たに情報化を軸とした点検・評価に加え、過去三回の自己点検・評価における指摘事項百七十三項目について改善・改革の現状を調査し、実施された施策や効果、さらに改善を要する事項について達成度評価を行った。評価結果は記述のほか、指摘事項の難易度を三段階で示すとともに達成度を五段階で評定している。

 カリキュラム改革は全体の九割を越える大学(五百九校千百七十一学部)が十三年度までに科目区分や必修・選択科目の見直しなどを行っていた。高校での履修の多様化に伴い、補習授業の実施など高校の履修状況に配慮した取り組みを行う大学は年々増加しており、十三年度では三百八十六校七百五学部で実施。起業家育成教育を行う大学も増えている。十三年度で百七十四校が実施。このうち私立大学は百三十校だった。宮城大学事業構想学部の「事業構想総論I・II・III」、多摩大学経営情報学部の「ベンチャー企業経営論」、呉大学社会情報学部の「戦略経営情報論」などが代表的な授業科目例となっている。
 授業の質を高めるために、学生による授業評価を実施している大学は五百十三校で全体の七六%。私立大学では三百七十一校が実施。授業評価の結果を改革に反映させるための組織的な取り組みを行っている私立大学は百二十校。現在、アメリカで一般に行われている成績評価方法であるGPA制度を導入している私立大学は五十五校。国立大学では十校、公立大学では四校だった。FD(ファカルティ・ディベロップメント)を実施している大学は年々増加し、十三年度では四百九校(六一%)で実施。私立大学では二百八十六校が実施していた。
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