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記事2002年12月3日 1874号 (2面) 
私情協が臨時総会 電子著作物の権利処理事業実施
マルチメディア衛星通信プロジェクトの研究成果報告
 私立大学情報教育協会(戸高敏之会長=同志社大学工学部教授)は十一月二十五日、東京・市ヶ谷の私学会館で「第三十一回臨時総会」を開催し、私情協が進めている電子著作物権利処理事業の実施準備やマルチメディア衛星通信プロジェクトの研究成果などについて報告・協議を行った。また、第十回情報教育方法研究発表会の受賞者の表彰も行われ、文部大臣賞は芝浦工業大学システム工学部の衣袋洋一氏の「WebLearningStudio による建築設計の教育〜ネットワークを利用した遠隔地の非常勤講師との実時間授業チャットによる試み」が受賞した。

 総会には文部科学省の徳久治彦・専門教育課長が来賓として出席。「大学教育における情報教育の充実は喫緊の課題だが、四年制大学でこれを必修化している割合は低い。私情協が情報教育推進の核に」とあいさつした。
 私情協は五月に開いた第三十回通常総会で電子著作物の権利処理に関する管理委託契約および使用料規程についてアンケートを行ったが、これに基づき閲覧料の廃止などの変更を行うとの報告があった。主な変更点は▽電子著作物の種類のうち、プログラムとデータベースは一体での使用が多いことから、プログラムおよびデータベースとして統合した。動画・静止画の利用については使用料額を高くした▽権利者登録の段階で権利処理が完了しているかを会話形式で点検できるようにシステムを構築。例えば「引用」であれば出所表示の要件を掲載し、自己点検できるようにしている▽著作権法を仲介する私情協が係争に巻き込まれないように、権利者が登録する内容については権利者責任とし、利用者による不正使用を発見した場合は使用を停止するなどの措置を徹底など。
 マルチメディア衛星通信プロジェクトは、これからの授業が動画・音声などマルチメディアの使用が主流になることを見据え、それを可能にする高速大容量の情報通信システムの一つの方法として、インターネットと衛星通信を統合したマルチメディア衛星通信システムのモデル。システムの伝送方式はTV会議や教材コンテンツの送受信にはLANおよびインターネットの標準規格であるIP(InternetProtocol)を用い、高画質映像の送受信にはデジタル衛星放送の国際規格であるDVB(DigitalVideoBroadcasting)など世界標準の通信方式を用いる。当面は大容量の授業コンテンツが国内で多く構築されること、海外の大学との日常的な授業交流の展開が早期に実現されることを期待するとしたうえで、地上通信と比較して、回線混雑の不安が解消される、多地点への同時配信が可能といったメリットがあると報告された。
 このほか、全加盟校の参加による本格運用とするため、私立大学間教育情報交流システムへの参加が呼び掛けられた。

臨時総会であいさつする戸高会長

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