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記事2002年12月3日 1874号 (8面) 
ユニーク教育 (112) ―― 宮城学院中学校・高等学校
国際精神を養い、世界平和に貢献
選択制に類型制加えた新課程発足

鈴谷校長

 宮城学院中学校・高等学校(鈴谷輝秋校長、仙台市青葉区)は明治十九年、アメリカの宣教師、エリザベス・プールボーらと日本のクリスチャンによって「宮城女学校」として創設され、今年で百十六年目を迎える。戦後は幼稚園、中学校、高校、短期大学、大学を擁する総合学園として、東北の私学界をリードしてきている。緑に囲まれた、落ち着いたエンジ色のレンガに彩られたキャンパスは素晴らしい教育環境をつくり出している。
 「キリスト教精神に基づく人格教育により国際精神を養い、人類の福祉と世界の平和に貢献する女性を育成する」ことを建学の精神に掲げ、「豊かな心とすぐれた学力を有する人格を培う」ことを教育の目標としている。
 この建学の精神と教育目標は「聖書」「国際」「自主」の三本の柱を重点に実践している。同校の一日は礼拝から始まるが、イースター礼拝などの特別礼拝、週一時間の聖書の時間、それに五月と六月に行われるキリスト教教育週間を通して、自分の生き方を反省するとともに生きる原動力を学ぶ。また、進取の気性に富んだ「自主」の精神は同学院の大切な校風として、創立以来生徒の心の中に脈々と受け継がれている。
 塚本恭子・中学校教頭は「本校では『自主』の精神があるからこそ、生徒たちは伸び伸びと学校生活を送ることができるのです」と説明する。
 同校の自由で明るく伸び伸びとした校風は、企画から実施まですべて生徒が手づくりで行う生徒会行事にも表れている。
 七月、二泊三日で行われるサマーキャンプは、自主参加の中学一年から大学生まで一緒に実施される。このサマーキャンプでは、生徒たちが人間的な交流を通じ、心の豊かさを身につけていく。中学三年のある生徒は「このサマーキャンプでは、私は新しい発見をいくつかしました。それは友人の新しい一面であったり、自分自身のまだ見えていなかった部分であったりと、自分にせまる問いと答えでした。自分はどれだけのことを認識できているのか。何が大切なのか」を学ぶことができた。
 あるいは、サマーキャンプの閉会礼拝を前にして書いた反省文をみると、「老人ホームにいった時の出来事で、私が話しかけたおじさんの細くて、たくさんのしわのある八十九年の人生が刻まれた手に触れたことでした。まったく、自分でも分かりませんが、涙がでました」と、自分を考えるきっかけになっている。
 同校では、中学は平成十四年度から新カリキュラムで対応している。中学校では幅広い基本的な知識を確実に身につけることを目標にしている。特に「音楽」では合唱や鑑賞に加えて、弦楽器の授業などを展開している。三年生では、バイオリン、ビオラ、チェロを必修で行っている。
 また、「国語」は年間一万ページを読破し、読後感想文を書くことを目標に読書指導を行っている。図書館に約四万冊ある蔵書が、いかに国語力養成に力を入れているかを物語っている。
 一方、難関大学への入学を希望する生徒が年々増加している現状を踏まえて、高校では十五年度から選択制に類型制を加えた形で、新しいカリキュラムがスタートする。高校二年になると、文系と理系に分かれることで、理系希望者に必要な理数科目を強化した。三年では、文I(推薦希望者)、文II(受験希望者)、理系のそれぞれの進路に対応できるカリキュラムを整備して、一人ひとりの進路実現を支援できる態勢を完成させた。

韓国の提携校との相互交流

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