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全私学新聞

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記事2002年12月23日 1876号 (1面) 
中教審が全私学連合などから意見聴取
私学の位置付け明確に 学校選択の自由を実質的に保障する財政措置
学校教育は幼稚園からはじまる
私学の存在は重要
 中央教育審議会の基本問題部会(鳥居泰彦部会長=日本私立学校振興・共済事業団理事長)は、十二月十三、十七、十九の三日間、都内で部会を開き、日野原重明・聖路加看護学園理事長や阿部美哉・國學院大学長からこれからの教育や宗教教育の在り方についての意見を、また経済同友会、国立大学協会など約二十の教育・経済関係団体から中教審が十一月に公表した教育基本法見直しと教育振興基本計画に関する「中間報告」への意見を聴取した。このうち私学関係では、全私学連合が十七日、全国専修学校各種学校総連合会が十三日に意見発表を行った。


 全私学連合は、教育基本法、教育振興基本計画の問題を検討してきた清成忠男・私学教育振興基本問題検討委員会委員長(法政大学総長・理事長)が代表して意見を発表した。この中で清成委員長は、教育基本法に関しては、「教育は、本来民間のイニシアティブに依存するものであり、民主主義国家における私立学校の存在は重要な意義を持っている。特に今日ではそのような意義がますます拡大していることを認識すべきである。私立学校が国公立学校の補完的存在ではなく、むしろ優位性を持つべきものとして、教育基本法に私立学校の位置付けを明確に規定すべきである」などと指摘。そのうえで教育振興基本計画に関しては、(1)教育基本法における私立学校の位置づけの明確化を前提に、私立学校の振興をはかるための正当な総合的支援を具体的施策として盛り込み、今後の教育政策はこれに基づいて実施されること(2)子供たちは、意思と能力に応じて、自らにとって最もふさわしい教育を受けることが実質的に保障されるべきで、経済的な理由によって選択権の行使が妨げられることのないよう、「私学助成の充実」とともに「公私立学校間での学費等経済的負担の格差を是正するための措置の実施」を追加すること(3)私立幼稚園の振興を図ること(4)日本の高等教育が私学に大きく依存していることから、大学の設置形態(私立、国立、公立)の違いにより、学生が受けるべき額に差がつけられるべきではなく、税制面でも同様(5)教育振興基本計画の策定・推進に際しては、同計画の総経費をGDP(国内総生産)比で何%とするといった具体的数値と年次計画を示すよう要請した。清成委員長の説明によると、国立大学の学生一人当たりの国庫負担額は私立大学の十七倍にも上る。

株式会社の教育参入望ましくない
義務教育は国が責任


 これに関連して、九里茂三・日本私立中学高等学校連合会副会長は出身の山形県での高校授業料の公私間格差、公費支出額の違いなどを説明し、私学教育こそ本筋の教育である点を強調した。
 このほか全日本私立幼稚園連合会の田中雅道副会長は、学校教育の始まりは幼稚園からで、また中間報告が検討課題としている就学時期の弾力化については、小学校入学時期を早める方向で議論にならないよう慎重な検討を要請した。
 全私学連合の意見発表後、中教審委員からは株式会社の教育参入をどう考えるかなどの質問が出されたが、この問題について清成委員長は、「望ましいものではない。学校法人(制度)が参入規制をしていることはなく、今の制度で特に問題はない。また義務教育は国が責任を持って行うべきだ」と回答した。

職業教育にもっと光を

 一方、全国専修学校各種学校総連合会は鎌谷秀男会長、中込三郎副会長らが出席、中間報告が指摘した、学校教育での、子供への的確な職業観の育成、キャリア教育の充実等に対しては、賛意を表明、現代の若者が希望の職業を見つけられずフリーター人口が二百万人にも達していることなどをあげて、職業教育にもっと光を当ててほしいと訴えた。
 また自分の職業に誇りを持てる社会が大切で、職業教育等を教育基本法に明確に位置づけ、基本計画では大きな柱として位置づけるよう求めた。また大学、短大を卒業後、専門技能の取得等を目的に専門学校に入学する学生が平成十四年度で専門学校入学者総数の約一割に当たる二万六千人にも達していることなどが説明された。
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