こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2002年12月23日号二ュース >> VIEW

記事2002年12月23日 1876号 (2面) 
教育切符制導入 今後の課題に
総合規制改革会議が二次答申 総理に提出
学校法人の設立要件緩和 15年度中に結論
株式会社の教育参入に道
 政府の総合規制改革会議(宮内義彦議長=オリックス株式会社代表取締役会長兼グループCEO)は、十二月十二日、「規制改革の推進に関する第二次答申」をまとめ、小泉首相に提出した。
 答申は、教育について様々な規制改革策を打ち出しているが、焦点の教育分野への株式会社参入に関しては、特に大学院レベルの社会人のための職業実務教育等の分野について参入のあり方を平成十五年度中に検討し、結論を出すとしており、株式会社の教育参入に道を開く結果となった。現在のところ新しく創設された専門職大学院制度を念頭に置いている、といわれている。
 同時に学校法人の設立要件については、構造改革特区で特例措置として校地・校舎の自己所有要件が緩和されることになったため、全国的な緩和については、学校教育の安定性・継続性の確保を前提に、特区での状況を踏まえながら平成十五年度中に検討、結論を出すとしている。また学校法人会計制度についても、企業会計基準の大幅な改訂等を踏まえ見直しが進められている公益法人会計基準の動向に合わせて、事業活動の透明化、効率的経営に資するよう、新しい企業会計基準をとりこむことについて、学校の特性を踏まえつつ早急な検討を促している。
 私立学校の設置促進に関しては、十四年度中に都道府県の私立学校設置認可審査基準等の見直しを促進し、私立学校審議会のあり方の見直しの結論を出す方針。
 このほか民間企業やNPO(非営利組織)など学校以外の主体の教育資源の有効活用等の観点から、例えば外国語やIT教育などの授業で外部人材や学習環境の活用が推進されるよう、ガイドラインの策定や体制の整備等を求めており、またPFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)による学校施設運営が可能である範囲についての明確化の必要性を指摘している。PFIとは、民間の資金とノウハウを活用して公共サービスの提供を民間主導で行うことで、すでに学校施設を活用しての水泳教室やフィットネス教室運営等の事例がある。
 さらに海外から日本に進出する大学など高等教育の国際的展開に対応した質の保証のあり方を平成十五年度中に検討する。具体的には国内の第三者評価機関が海外の大学についても評価しうる方策などを検討する。
 教員に関しては、能力に応じた処遇が適切になされるシステムへの転換、各教育委員会に対しては新しい教員評価の導入促進を図る。
 一方、構造改革特区に関しては、▽株式会社等による学校経営の解禁▽大学・学部・学科の設置等の完全自由化(届け出制へ)▽国立大学の教員への裁量労働制の適用▽小中高一貫教育など、教育課程・教科設定・学習指導要領の弾力化▽国公立大学の部局等管理職への外国人の任用の解禁▽公立学校と私立学校との間の生徒の負担の平等を確保するための教育切符制の導入▽幼稚園・保育所の一元化等を今後の課題としてその実現を早急に目指す構え。
記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞