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記事2002年12月13日 1875号 (1面) 
日短協、第2回理事長協議会 私学経営の在り方で討議
”大学維新”何をなすべきか
 日本私立短期大学協会(川並弘昭会長=聖徳大学短期大学部理事長・学長)は十二月三日、東京・市ケ谷の私学会館で「第二回理事長協議会」を開催、全国から約二百人の理事長らが集まった。午前は石川洋美・芝浦工業大学理事長が「大学維新の中で大学経営者はいま何をなすべきか」と題して講演。午後は「これからの私学経営の在り方について」を共通テーマに、グループ別討議が行われた。
 開会に当たって協議会運営委員長の和野内崇弘・札幌国際大学短期大学部理事長・学長は「短大が四年制大学の二分の一大学といわれて、少子化の時代、四年制大学に指向が移っていった時にその特徴を見いだせなかったところに問題がある。理事長は経営責任を全うしなければならない。きょうの協議会でご自分の仕事へのヒントを得ていただきたい」と開催の趣旨を述べた。続いて杉田均事務局長が最近の中央教育審議会の動向などを説明。全私学連合が七月、主として教育振興基本計画に関する審議に当たっての要請書を中教審に提出したが、今度は教育基本法を中心とした意見を申し述べたいとして、(1)私学がわが国の学校教育の中で果たしてきた歴史的経緯を総合的に評価して、教育基本法に明確な位置づけをしてほしい(2)国公私間のバランスに配慮した適正な財政措置を実施してほしいの大きく二点で要請書をまとめる段階になっていることを述べた。
 石川理事長は、いま大学は「維新」の真っただ中にあるとし、「維新」とはすべてを根本から改めることだと指摘。従来の教員の背中を見て育つ教育から学生に分からせる教育への転換、教育ツールの進歩といった教育の「維新」、社会でその教育がどう役立つかが問われる教育の変化、家計簿経営から計画的経営への転換、国公立大学の独立行政法人化(民営化)による強力な競争相手の出現などに見られる経営の「維新」、さらには大学情報のディスクロージャーが進んできたことなどを「維新」の実例として挙げた。
 そのうえで顧客である学生は大学に何を求めているかというマーケティングが必要であり、自分の大学の売り物は何であるかというコア・コンピタンスを認識することの重要性を強調した。知識の集積と活用、そこで学ぶことのステータス、キャンパスライフ、研究による社会貢献への参加などのうちどの分野に力を入れるのか、明確化すべきだとした。
 最後に、大学を芝居小屋に見立てれば、学生と社会は観客、教員は演技者、事務職員は裏方であり、学長が座長、理事会が小屋主だとし、小屋を閉じるのは自分であるという覚悟を小屋主が持っていることで、逆に閉じないようにするにはどうすべきかという発想が生まれると指摘。「維新」期には「平等民主主義」から脱皮し、トップダウンで改革を進めなければ乗り切ることができないと指摘した。
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