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記事2002年12月13日 1875号 (8面) 
ユニーク教育 (113) ―― 啓新高等学校 (福井市)
未来へ希望持って切り啓く
介護福祉士、調理師養成免許取得

荻原校長

 啓新高等学校(荻原芳昭理事長・校長、福井市文京)は共学にして今年で五年目を迎えた。荻原昭人教頭は「女子校から男女共学に変化したというより、新しい学校をゼロからつくろうという気持ちでした」と振り返る。
 校名の「啓新」には今までとは異なり、未来へ希望を持って切り啓いていこうという思いが込められている。
 「本校では教育の原点は人間愛だと考えています。お互いが助け合って共に歩いて行くという人間教育の考えに立った考え方です。その上で、『真・善・美』と『行学一路』を建学の精神に掲げ、生徒一人ひとりの持つ個性を重視しながら、将来への可能性を伸ばしていこうと思っています」と荻原教頭は歯切れよく語る。
 同校は普通科(特別進学コース)、福祉科、調理科、情報商業科、生活文化科の五つの特色ある科を有している。特に同県のほかの学校では見られないのが、福祉科と調理科だ。福祉科は介護福祉士を育成するために平成八年に設置された。福祉科を持っていない学校では、高校卒業後、介護福祉士指定養成施設で二年以上勉強しなければならないが、同校では高齢化社会を支えていくためには福祉・介護のプロフェッショナルの存在が欠かせないという時代のニーズに応え、早くから福祉科設置の構想があった。
 ここで学ぶ内容は「社会福祉基礎」「基礎看護」「社会福祉援助技術」「社会福祉演習」「リハビリテーション」「介護技術」だ。介護福祉士国家試験の合格率が全国平均約五〇%といわれているなかで、平成十三年度は同校から三十三人が受験し第一次、二次試験とも合格者が九〇%を記録した。卒業後は介護福祉士の受験資格を取得できるほか、訪問介護員(ホームヘルパー)一級の資格も認定される。
 調理科は同県内で初めて厚生省(当時)から認可を受けた伝統ある科だ。一流のシェフを講師陣に迎え、「調理理論」「調理実習」「栄養」「衛生法規」「フードコーディネート」などの学習を通して、日本、西洋、中華の料理の基礎から応用までを学ぶ。実習は著名なホテル、料亭などで一年から始め、卒業と同時に国家資格の調理師免許が取得できる。
 「将来は料理の鉄人を目指してほしい」と荻原教頭は期待をかけている。
 また普通科では国公立・難関私立大学進学希望者を対象にした五教科中心のカリキュラムの授業では、一日七時間授業を基本に生徒の学力に応じた補習授業も行っている。情報商業科では情報処理・会計・経済の各分野についての知識と技術を習得する。生活文化科ではファッション、デザイン、保育を中心に総合的に学び、これらの方面で活躍できる人材を育成する。
 共学にしたことで、部活動をはじめ、生徒の学校生活や学校自体もパワーが出てきた。サッカー、ハンドボール、剣道、卓球、演劇、合唱など各部は優れた指導者の下で好成績を残している。
 「共学にしてから、福祉科、調理科はもちろん、普通科も希望者が増加しています。共学が成功したのは、やはり教員の意識が重要なポイントとして挙げられます。学校を盛り上げていこう、そして、生徒一人ひとりの能力を引き出していこうというパワーがあったからだと思います。若手とベテランのバランスも取れていました。学校は教員で変わります」と話す。

介護実習で知識、技術、人間性を学ぶ

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