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記事2002年11月3日 1869号 (1面) 
中央教育審議会 中間報告を次期総会でとりまとめ
私学振興は重要留意が必要
「公共」精神、国際性など位置づけ
義務教育は国と地方で責任
 教育基本法の見直し・教育振興基本計画の検討を続けている文部科学省の中央教育審議会(鳥居泰彦会長=日本私立学校振興・共済事業団理事長)は、十月三十日、東京都内のホテルで総会を開き、これまでの審議結果をまとめた中間報告案を固めた。今後は十一月十四日の次期総会で中間報告としてまとめ、遠山敦子文部科学大臣に提出する予定。その後は教育関係者や国民から意見を聞くことにしている。全私学連合でも中間報告に関する意見表明の準備を進めている。(2面に関連記事)
 この日の総会では、十月二十四日の基本問題部会で固めた中間報告案が説明され、討議された。
 十月三十日の中間報告案の段階では、これからの教育の基本理念としては、現行法に掲げられている基本理念に加えて、(1)個人の自己実現と個性・能力の伸長、創造性の涵養(2)感性、自然や環境との関わり(3)社会の形成に主体的に参画する「公共」の精神、道徳心、自律心(4)日本人としてのアイデンティティー(伝統、文化の尊重、郷土や国を愛する心)と、国際性(国際社会の一員としての意識)(5)生涯学習の理念(6)時代や社会の変化に対応した教育(7)職業生活との関連の明確化などを重要な理念として位置づけている。このうち学校の役割に触れたくだりでは、「高等教育や就学前教育等において私立学校は大きな役割を担っていることから、私立学校における教育の振興を図ることは重要であり、それを踏まえた規定としていくべきである」との意見にも留意する必要があるとしている。また教員に関しては、教育基本法において、国公私立の別なく、教員の使命感や責務を明確に規定し、研究と修養等により資質向上を図ることの重要性について規定することが適当としている。さらに家庭教育に関しては、家庭(保護者)が子どもの教育に第一義的な責任を負っているとの観点に十分留意し、最小限の範囲で規定することが適当としている。
 一方、「教育振興基本計画」の在り方に関しては、そこに盛り込むべき施策の基本的な方向として、(1)国民から信頼される学校教育の確立(2)「知」の世紀をリードする大学改革の推進(3)家庭の教育力の回復、学校・家庭・地域社会の連携・協力の推進(4)生涯学習社会の実現の四点を挙げており、このうち(1)では、私立学校の振興を取り上げている。そこでは全国的な初等中等教育水準の維持向上のため、特色を生かした教育を展開している私立学校の振興に努める必要があるとしている。
 また(2)では、私学助成の推進による私立大学の教育研究環境の整備・充実の検討を求めている。
 十月三十日の総会では、中教審の女性委員が共同して男女共同参画基本法の理念を十分にくみ取るよう要望。また義務教育に関して、国と地方が共同して実施する責務の明記を、そのほか幼児教育、私学振興の一層の振興を中間報告に盛り込むよう要請する意見も聞かれた。同計画に盛り込む具体的施策については、同審議会の関係分科会で今後、検討される。
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