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記事2002年11月23日 1872号 (1面) 
学校法人要件緩和など推進
規制改革の進捗状況報告 総合規制改革会議
教育の一部アウトソーシングの促進も
政府の総合規制改革会議(議長=宮内義彦・オリックス株式会社代表取締役会長兼グループCEO)は、十二月中旬の小泉首相への答申に向け大詰めの審議を続けているが、十一月六日に行われた第十回会議では、各分野の検討状況が各ワーキンググループの主査らから報告され、協議が行われた。
 このうち教育・研究ワーキンググループ(主査=米澤明憲・東京大学大学院情報学環教授)では、(1)教育主体の多様化(2)教育主体に関する情報公開の促進(3)初等中等教育の活性化(4)高等教育の活性化と産学連携の推進を検討していることを報告した。検討中の教育主体の多様化は、消費者の選択肢の拡大と競争的環境を通じた教育サービスの質的向上を目指すもの。
 具体的には、▽教育分野における株式会社参入▽学校法人の要件緩和(校地自己所有要件の賃借等)▽教育の一部業務委託の促進(語学、体育、芸術、IT分野や総合的な学習の時間などの委託条件整備、PFIによる学校管理業務委託の促進)▽私立学校設置促進のための施策(都道府県の私立学校設置認可審査基準等の見直し促進、私立学校審議会の見直し)▽コミュニティスクール導入に向けた制度整備▽インターナショナルスクールに関する制度整備などの検討が進められている。株式会社の教育参入については、文部科学省との協議では対応不可能となったが、同会議では、教育に参入したいという株式会社のニーズをまとめ改めて文部科学省と協議する予定で、社会人を対象に特区または全国で実現を目指す考えだ。
 教育主体に関する情報公開の促進は、消費者の適正な選択を支える情報公開や第三者評価制度を整備するもので、▽学校法人会計制度の見直し(情報公開ルールの整備)▽大学への第三者評価および小中学校の評価のあり方などが検討されている。
 初等中等教育の活性化は、創造性豊かな人材育成と社会・地域のニーズに応じた教育推進の観点から初等中等教育に関する規制の弾力化を図るもの。▽教育プログラムの多様化推進(外国語教育推進、学習指導要領の弾力化)▽教員評価の導入等による教員資質の向上を目指す。
 高等教育の活性化と産学連携の推進は、大学等の新設に関する規制の見直し(校地の校舎三倍要件を学生数に面積をかける方法への変更)などを進めたい意向。
 このほか同会議の委員からは、国立大学の独立行政法人化に伴い、大学教員の勤務条件の弾力化では裁量労働制導入の検討を求める意見が出され、早急に文部科学省と折衝していくこととなった。
 またこれと関連して、大学教員のような職種については、中長期的にはホワイトカラーエグザンプションのような労働基準法の適用除外にするというのが適当ではないかとして厚生労働省に労基法の取り扱いの検討を依頼していることなどが明らかになった。さらに国立大学が独立行政法人化する前でも、教員の勤務時間を短縮、残りは自由とし、給料は半分などという制度についても文科省に検討を依頼しており、人事院と協議が進められている模様であることなどが報告された。
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