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記事2002年11月23日 1872号 (2面) 
環境改善目指し役職者研修会 私大振興協会
質高める環境整備
入学志願動向を基に講演
日本私立大学振興協会(北元喜朗会長=北陸大学理事長)は十一月七日、東京・市ヶ谷の私学会館で「役職者職員研修会」を開催した。日本私立学校振興・共済事業団私学活性化促進支援センターの佐野清克センター長が「私立学校をめぐる環境の改善を目指して」と題して、同センターが調査した「平成十四年度私立大学・短大の入学志願動向」のデータを基に講演したほか、日塔喜一・機会均等等研究所代表(前日本私立大学連盟事務局長)が国公私立大学間における公財政支出の在り方について話した。
 佐野氏は前年度との比較で十四年度の大学の志願倍率は上昇しており、特に法学系の学部で上昇が著しいこと、短大の十四年度志願者数は前年度から減少しているものの入学定員充足率七〇%以下の短大は減少していることなどを指摘した上で、志願倍率が低倍率になるほど定員割れを起こす可能性が高くなるとした。平成二十一年に到来する全入時代に向けて、大学は「学生に選ばれる側」へと環境が大きく変化していると指摘。志願者、入学者の増加という「量」の確保のみならず、入学者、社会に送り出す学生の「質」を高める環境整備が重要だとして、学生支援策の充実を強調した。各大学に学生支援の取り組みを調査した結果も報告。大学では(1)教育内容の改善・充実(2)就職・進路指導、資格取得(3)修学支援・教育環境の整備の順で多く、短大では教育内容の改善・充実を挙げた短大が群を抜いて多かったとした。また、私学事業団では各学校法入の経営基盤強化に向けた取り組みを支援するため、財務相談支援、私学活性化促進支援の両センター内に「私学経営相談室」を設けているが、十五年度概算要求ではこれを「私学経営相談センター」に組織変更、係員も増員すべく要求し、さらに支援充実に努める方向であると述べた。
 日塔氏は私立大学への志願者の減少は少子化、不況などの影響もあるが、公立私立の学生一人当たり公財政支出教育費の二十八倍もの格差が立ちはだかっているためであり、学生納付金の格差も大きいことを指摘。イコール・フッティングの競争を私学人は望んでいるとした。ヨーロッパ各国の高等教育機関在学者に対する公財政支出教育費が総じて公平かつ公正であること、公私間で学費格差があるアメリカでも充実した奨学金制度などでその格差を和らげていることを紹介。これら諸外国では自国の大学生を平等に扱っているとしたうえで、わが国でもこれまでの文教政策を大転換し、機会均等を速やかに実現すべきだと力説した。
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