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記事2002年11月13日 1870号 (2面) 
コミュニティ教育充実を経済政策の一環に
短大めぐる諸問題講演 坂田委員長
日短協・教務担当者研修会
日本私立短期大学協会(川並弘昭会長=聖徳大学短期大学部理事長・学長)は十月二十三日から三日間、大阪市淀川区の大阪ガーデンパレスで「平成十四年度私立短大教務担当者研修会」を開催した。会員校から約三百六十人の教務担当者が参加。初日は短期大学をめぐる最近の諸問題について、坂田正二・教務研究委員会委員長(呉大学短期大学部理事長・学長)が話したほか、坂越正樹・広島大学大学院教授、亀岡雄・文部科学省生涯学習政策局生涯学習企画官が講演した。

 坂田委員長は、中央教育審議会の「質の保証」答申のポイントを、(1)原則抑制政策、大都市抑制政策を撤廃し、自由競争化する(2)設置認可を事前規制から事後チェックに変更し、認証評価機関を設けるの二点だとし、これを高等教育行政の大転換だと位置づけた。「地域総合科学科」については、編入学、職業教育、コミュニティ教育の三つのプログラムの実施を促すものだが、現在の日本におけるコミュニティの求めている教育ニーズは明らかでないと述べた。また、現行の改革の中で「生涯学習まちづくりモデル支援事業」や長期履修学生制度への私学助成はどうなるのか、エクステンションやオープンカレッジなど多様な形で展開されている生涯学習の実態についての調査もサポートもない、と課題を指摘。そのうえで、日本もコミュニティ教育の充実を経済・社会政策の一環として考える時が来たとし、財政的支援策についても私学助成の概念を超えるものがあるとした。
 坂越教授は「コミュニティ教育の理念と短期大学の課題」について話した。ポスト近代的コミュニティは一つのコミュニティの中に多元的なサブコミュニティを包含したコミュニティであるとし、「減私奉『公』」ではない「公」的世界の構成が求められる中で、そうした「公」を意識した教育、教養とコミュニケーション能力が市民として必要な教育ではないかとした。コミュニティ教育の方向性としては、コミュニティへの準備教育として、コミュニティ参画能力の形成、地域に生活する市民としての高度な「教養」教育の必要性を指摘。環境学や郷土学などプロジェクト型のカリキュラムやケースワークやフィールドワークなどが求められるのではないかとした。コミュニティの中での教育としては、生涯学習社会に対応した教育など、短大がコミュニティの当事者としてコミュニティの教育ニーズに応えること、地域の学習センターとしての機能を果たすことだと述べた。
 亀岡企画官は、離職者が大学・短大などで再就職に向けてキャリアアップのために学ぶ「社会人キャリアアップ推進プラン」、大学・短大の知的・人的資源を活用して、地域の特性を生かした街づくりを推進する「生涯学習まちづくりモデル支援事業」の二つの施策の内容を紹介。そのうえで、短大には生涯学習の拠点としての役割を期待するとし、大学卒業者でもさらに他分野での準学士レベルの知識を得たい人などの潜在的学習ニーズを掘り起こすこと、地域の現状を把握して活躍できる人材を育てることなどを課題として指摘した。
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