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記事2002年11月13日 1870号 (2面) 
大学等の設置時 構造改革第1次特区構想決まる
教育課程を弾力化
校地面積基準を緩和
学校法人資産条件緩和は全国で
 政府の構造改革特区推進本部(本部長=小泉純一郎首相)は十月十一日、「構造改革特区推進のためのプログラム」を策定した。これは構造改革特区で講じることのできる特例措置、特例措置を実施する場合の要件、今後のスケジュールなどを定めたもの。

 それによると、構造改革特区で実施できる特例措置のうち、文部科学省関係では、▽研究開発学校制度の下に新設する「構造改革特区研究開発学校制度(仮称)」により小中高校一貫教育等、学校種間のカリキュラムの円滑な連携、教育課程の弾力化、教科の自由な設定、学習指導要領の弾力化(要件=憲法、教育基本等に基づく学校教育の取り組みとして適切なもの)▽他の高校や中等教育学校の後期課程で修得した単位を高校の単位数に互換できる単位数の上限の緩和(要件=高校の主体性を維持するため、単位認定に当たってのガイドラインをあらかじめ定める)▽校地面積基準を校舎面積基準と連動しない形で定めるなど全国規模の基準の緩和を超えた大学設置の際の校地面積基準の緩和(要件=学生が充実した学習を行うことができるとともに、安定的な大学経営が確保されること)▽引きこもり状態にある不登校児童生徒を対象として、IT等を活用した学習活動の可能化(要件=特区内に居住する引きこもり状態にある児童生徒のみを対象とし、通学すべき学校への復帰を前提とする等)などを定めている。
 また全国で実施できる規制改革事項として、インターナショナルスクール卒業者の大学入学機会の拡大(十四年度中に実施)、大学設置基準の緩和(十五年四月一日から施行)、私立学校設置時の、学校法人の資産条件の緩和(同)などを示している。目下、来年一月十五日を締め切りに、特区構想の第二次提案を募集中でプログラムに掲載されなかった事項の再提案も受け付けている。

「特区法案」衆院に
法施行後特例措置実施自治体募集


 政府は十一月五日、「構造改革特別区域法案」を閣議決定し、同日、開会中の臨時国会(衆議院)に提出した。現在は内閣委員会に付託され審議が進められている。同法の成立、施行後、基本方針を閣議決定することにしている。
 これまでの第一次と来年一月十五日を締め切りとする第二次提案募集は、民間事業者や地方自治体等から特例措置に関わるアイデアを募集するもので、「特区法案」成立後、改めて地方自治体から特例措置実施の申請を受け付けることになる。実施自治体の限定はしない方針で、実施の詳細は各自治体で決められることになる。
 一方、地方自治体から提案されたものの、今回は特例措置として採用されなかった規制改革も少なくない。例えば横須賀市の「小中高校一貫校において高校のみ修学年限を緩和することは可能か」との提案に対して文部科学省は、「修業年限の見直しは、広く国民一般の理解を得ながら、中長期的な観点で慎重に検討すべきことがらと認識している。特区であっても高校の修業年限を短縮するなどの変更を行うことは適当ではない」と回答している。
 また千代田区教育委員会の「国公立義務教育学校において区外就学者や学習指導要領を上回る授業に対しては、必要に応じて、授業料を設定できるよう授業料の弾力化・自由化をしたい」との提案に対して文部科学省は、「義務教育として行われる以上、特区であっても憲法の理念を曲げて認めることは困難。なお付加的な授業料の徴収を行うには、地方自治体が出資して、いわゆる第三セクター方式の学校法人を設立して、当該学校法人が設置・運営する方式を取れば必要な授業料徴収も可能。また授業料を徴収して特色ある教育を施すことは、すでに私立学校で行われており、これを自治体が公立学校で行うことは特区の趣旨にそぐわない」と回答している。同趣旨の提案は、港区教育委員会から区立インターナショナルスクールに関して従来の小中学校に係る経費との差額分のみを授業料として徴収したいとして出されていたが、文部科学省は千代田区教育委員会の場合と同じ回答をしている。
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