こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2002年11月13日号二ュース >> VIEW

記事2002年11月13日 1870号 (2面) 
規制改革、中教審対策など協議 私大協総会
独自の評価期間設立へ
高等教育激動期の私大の発展方策協議
 日本私立大学協会(大沼淳会長=文化女子大学理事長・学長)は十月二十五日、名古屋市中区の名古屋観光ホテルで「平成十四年度秋季総会」を開催した。総合規制改革会議、中央教育審議会の審議動向と対策など高等教育激動期における私立大学の振興・発展方策や、協会独自の第三者評価機関の設立に向け、私立大学の特性に配慮した評価システムに関する基本的考え方などについて協議した。
 総合規制改革会議の審議動向については小出秀文事務局長から、七月に出された「中間とりまとめ」に盛り込まれていた、教育分野への株式会社参入については阻止でき、校地校舎面積基準、自己保有要件を緩和する、分野を専門職大学院に限定させる、の二つの限定で学校法人の形態による参入ということで決着をみたとの報告があった。しかし、今後こうした学校法人の動向など、なお問題はくすぶり続けているとした。
 中教審の審議動向については委員の黒田壽二・金沢工業大学学園長・総長が報告。八月に出された答申「大学の質の保証に係る新たなシステムの構築について」で導入が提言された第三者評価制度は平成十六年からの導入が予定されているが、新たな評価機関を立ち上げる場合は来年にはスタートさせて“試行期間”を設ける必要があるとし、協会がつくる評価機関が行う評価は、あくまでも機関別第三者評価となる、と述べた。
 私立大学の特性に配慮した評価システムについては私学高等教育研究所の喜多村和之主幹から、同研究所大学評価プロジェクトチームがこれまで検討を進めてきた結果についてあくまでも素案の骨子であると断りつつ、報告があった。骨子は▽私学の特性に適合した固有の評価システム▽大学の自律的な自己診断を基本とし、新設の第三者機関による評価を組み合わせる▽定性的評価を重視▽重視する機能に応じた評価モデルを通じて評価▽学習者の意見を反映した自己研究・診断の実施というもの。大沼会長は協会独自の評価機関をつくることについて合意を求めたが、異議なく了承され、その具体案については今後、協会でさらに検討していくこととなった。
 このほか、入学金・授業料返還問題についても協議。原野幸康常務理事は、協会では各支部でこの問題に関する情報交換に努めてきたとし、司法判断の結果を待つより仕方がないというのが文部科学省の見解であると報告。裁判所は消費者契約法にこの事案がなじむかどうかという判断をするのではないかとの見通しを示した。大沼会長は、協会全体の課題として取り組んでいきたいとした。
 また、平成十五年度私立大学関係政府予算要求に関しては、八月末に概算要求額が決定、今年も傾斜配分強化の傾向であること、一般補助は前年度同額に据え置かれ、増額分はすべて特別補助となったことなどが小出事務局長から報告があった。税制改正については、学校法人への現物寄付に係る「みなし譲渡所得」課税の廃止、学校法人に対する寄付金に係る損金参入限度額・所得控除限度額の拡大などの実現に努めていくとした。
記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞