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記事2002年11月13日 1870号 (4面) 
e-ラーニングの導入実験開始 法政大学総合情報センターの取り組み

法政大学
総合情報センター副所長
竹内則雄教授

 教育機関のネットワーク活用が多様な形で展開されているが、法政大学工学部(東京都小金井市)ではe―ラーニングを全学で実施するための導入実験を開始している。本紙では本プロジェクトを推進している総合情報センター副所長の竹内則雄教授に取り組みの現状について伺った。



授業のドラッグ&ドロップを目指して

 本学ではこの四月から、工学部土木工学科の学生を対象にe―ラーニングの導入実験を開始しました。これまであったレポート管理システムを一歩抜け出して、将来的に全学で本格的なe―ラーニングを導入するためのプラットフォームをテストする意味で稼働させています。
 土木工学科が選ばれたのは、同学科でのJABEE(日本技術者教育認定機構=大学など高等教育機関で実施されている技術者教育プログラムが社会の要求水準に合致しているかどうかを審査・認定している)への取り組みがあります。この認定制度は、その都度変化する教学上の情報が学生に明示されている必要がありますので、これまで一般的だった書類での明示よりもネットワークを活用したプラットフォーム媒体の方がすばやく情報を公開できるという理由です。
 レポート管理や、学内情報の開示、課題の提出、添削の返却などを含めて、教務的な学内管理とe―ラーニング的なものの両者をインターレクト株式会社(東京都港区)のドットキャンパスというe―ラーニングプラットフォームに載せてやりとりしたいと考えています。また、法政大学ではカリフォルニア州立大学と提携し、社会人を対象としたプレMBA講座を開講しています。週二回の講義ですが、一回はアメリカ研究所から遠隔講義システムを利用して行われます。アメリカの先生は英語の講義ですから、聞き取りがかなり難しい。こうした場合のために、講義をビデオでとってコンテンツ化し、デジタル教材という形で復習できるようにしています。こういった教材も、e―ラーニングプラットフォームに載せることができればと検討中です。
 本校におけるe―ラーニングシステムは、まだ完璧に出来上がっている段階ではありません。現在、デジタル教材の作成などについてメーカーと共同研究しているところで、それをドットキャンパスに載せ、できれば科目に限定されずにe―ラーニングを使っていきたいと考えています。
 実施のステップとしては、まず課題や資料の配布、提出などから始め、パワーポイントを使える先生は自分の講義内容をデジタル教材として載せるといったことから進めています。次のステップとしてビデオによるコンテンツ作成に取り組み、将来的にはパワーポイントの教材とビデオ教材を自動編集できるようにしたいと考えています。そうすれば、授業が終わった瞬間にコンテンツが出来上がるようになりますので、それをドットキャンパスに載せればいい。授業のドラッグ&ドロップというわけです。

【豊富な機能も使いこなしたい】

遠隔地の学部や企業との
コラボレーションにも


 また、ドットキャンパスにはコミュニケーション機能がありますので、グループ学習、研究などのインタラクティブな授業はゼミや三年生の総合演習などで使える機能だと思います。将来的には遠隔地にある学部や企業スタッフなどとのコラボレーションなどにも使えると考えています。
 特に、法政大学は小金井以外にも市ヶ谷と多摩にもキャンパスがあり、会議などはほとんどテレビ会議ですから、ネットワークシステムもそうしたことを見据えて構築しています。
 ドットキャンパスの良いところは、機能を鍛えていきながら成長させることができる自由度があります。実証実験で確認しながらカスタマイズできるところがよい点です。

【これからの取り組み】

講義のドキュメントを保存
教員全員が同じプラットフォームで教材づくり


 本プロジェクトは法政大のIT研究センターと総合情報センターが共同で推進していますが、運用実験は工学部の土木工学科でやっています。
 先生方のITスキルはいろいろですが、ワードなどで作った講義のドキュメントを保存するといったことから始めて、先生全員が同じプラットフォームで教材を作り、講義をするためのステップにしたいと考えています。
 今年の四月から以上述べたような内容で実験をしていますが、十一月中に土木工学科での利用状況や、コンテンツの状況、MBAにおけるe―ラーニングの使い方なども含めて、全教職員を対象に中間報告を行うことになっています。必要があればアメリカも含めて四カ所で遠隔報告会になるかもしれません。

法政大学工学部学生ラウンジの情報端末


ドットキャンパスの表示画面

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