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記事2002年11月13日 1870号 (6面) 
シックハウス症候群 人体への影響に警鐘 学校の新改築、全面改修など
学校環境衛生の基準見直し 文科省が実態調査
化学物質の室内濃度
ホルムアルデヒト4.3%、トルエン1.1%が指針値超す
現在、文部科学省は学校環境を衛生的に維持するためのガイドラインである「学校環境衛生の基準」(平成四年六月二十三日、文部省体育局長裁定)の見直しを検討している。
 いわゆる「シックハウス症候群」について、厚生労働省からその原因となる化学物質の室内濃度指針値が示されていることを踏まえ、「学校環境衛生の基準」の見直しのために、このほど学校における室内空気中化学物質に関する実態を調査した。
 調査は新築・改築、全面改修、築五年程度、築十年程度、築二十年程度など全国の学校五十校を選定し、普通教室、体育館、音楽室、保健室、コンピュータ室などで調査。平成十二年から十三年(夏期九月〜十月、冬期十二月〜十三年二月)にかけて行った。
 それによると、「ホルムアルデヒト」については、夏期では厚生労働省の指針値(0・08ppm)を超えたのは、午前で二百八十一カ所中十二カ所(四・三%)で、午後では二百七十八カ所中十二カ所(四・三%)だった。冬期では午後で二百七十八カ所中一カ所(〇・四%)音楽室で指針値を超えた。
 「トルエン」は夏期では、同省の指針値(0・07PPm)を超えたのは、午前で二百六十九カ所中三カ所(一・一%)、午後では三百七十一カ所中一カ所(〇・四%)という結果が出た。冬期では午前、午後とも二百六十四カ所中四カ所(一・五%)(普通教室、音楽室、体育館、図工室それぞれ一カ所)で指針値を超えた。
 また「キシレン」は夏期、冬期ともに同省の指針値(〇・二ppm)を超えた部屋はなかった。「パラジクロロベンゼン」は夏期、冬期ともに同省の指針値(0・04ppm)を超えた部屋はなかった。

目の刺激や不快感、吐き気

 「シックハウス症候群」とは住宅などに使用されている建材、塗料、防蟻剤などに含まれるホルムアルデヒトなどの化学物質が揮発し、室内の空気が汚染されることによって起こるアレルギー反応のことをいう。
 一般的に人体に及ぼす影響としては、のどが痛くなったり、目がちかちかしたり、場合によっては吐き気や頭痛を引き起こすこともある。重症になると、化学物質過敏症と呼ばれて、ごく微量の化学物質でも体に変調をきたすようになる。
 学校の新築・改築などが原因で体がホルムアルデヒトなどの化学物質に対して敏感になり、体調に変化をきたし、崩す場合を「シックスクール」と呼ばれている。
 現在、厚生労働省の検討会が中心となって、「シックハウス症候群」に対して対策を進めている。
 「シックハウス症候群」については、児童・生徒にその症状がある者が報告されている一方で、医学界でもまだ診断基準が定まっていないため「シックハウス症候群」か否かを特定することが困難な状況にある。そのため、学校で早急に児童・生徒の状況を把握するのが課題となってくる。
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