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記事2002年11月13日 1870号 (8面) 
ユニーク教育 (111) ―― 大妻嵐山高等学校
中高一貫で聡明な女性
理数系、体験学習を重視


緑と清流に囲まれた美しい自然を背景に、大妻嵐山高等学校(小林節校長、埼玉県比企郡)のキャンパスが広がっている。同校はそのキャンパスに来年から中学生を迎え入れる。今年、高校の教育改革を終え、いよいよ来年度は長年の念願だった大妻嵐山中学校が開校、中高一貫教育を始める。目指す中高一貫教育は、建学の精神「学芸を修めて人類のために」
(ArtsforMankind)の基に「聡明な女性の育成」だ。
 (1)「知的好奇心を持ち、進んで行動できる」(2)「他人を思いやりながら、自己表現できる」(3)「広い視野を持ち、自分の判断で行動できる」この三つの教育目標を実現するために、さまざまな新しい試みを実践する。
 中学教育で最も特徴的なのは、理数系科目の履修の重視だ。小林校長はその理由を「社会に出ても家庭でも論理的な思考力と実践力が非常に重要で、中学で『科学する心』と『表現する力』を養うためです」と説明する。
 特徴の二つ目は体験学習の重視だ。同校を取り巻く豊かな自然環境は格好の体験学習の材料となる。「実際に体験することが知的好奇心を刺激し、それが学習意欲につながっていくと思います。国チョウであるオオムラサキの飼育・観察などのプログラムを通して、自然との触れ合いを深めます。近隣の資料館や博物館をフルに活用し、理科、社会、総合的学習などを含め、体験学習を実践していきます」と小林校長。
 また、「エポック学習」は基礎学力を高めるために英語・数学・国語を一定期間集中的に学習し、英単語力コンテスト、計算力コンテストなどを行う。この期間は生徒が集中できるように他教科では大きな宿題などを課さないようにエポック学習に協力し、全校的に取り組むことになる。
 「学校週六日制」を採用し、土曜日にも正課の授業を配置する。授業時間は英語が標準時間数の二倍、国語が一・四倍、数学が一・七倍にもなっている。
 一方、高校は中学開校を見据えて、今年から生徒の幅広い希望に対応するためにカリキュラムをはじめ、新しい多くのシステムを取り入れている。基礎、応用、進路への対応と発展的に学ぶことができる中高一貫制を導入するためだ。高校一、二年までに大部分の必修科目を修了、三年では受験の準備に集中できる体制を組んでいる。
 総合進学クラスのほかに、進路の多様化に対応した特進クラスの設置は、大妻女子大学以外への進学にも積極的に挑戦するためだ。
 一年を前期・後期に分ける「二期制」を採用したため、授業数や部活動などの時間も確保した。土曜日は特進クラスでは土曜ゼミを、総合進学クラスでは英検・パソコン検定などの資格取得や基礎力の充実を図る土曜特別講座(選択制)を設定している。大妻女子大学教授の特別授業なども盛り込まれている。
 また、表現する力と思考力を深めるために毎朝二十分の「朝読書」や、基本知識の徹底を図るための「朝学習」が行われている。
 小林校長自身は、子供の可能性を伸ばすために、コミュニケーションセミナー「母と娘の豊かな関係を築くためのレッスン」を実施している。対象は小学校高学年と中学校女子の保護者で、四回のレッスンでは「勉強嫌いにしないために」、「友達づくりの上手な子にするために」(スキルトレーニング)、「励まし方と叱り方」(ロールプレイを通して)、「親と子のいい関係」(カウンセリングマインド)となっている。

大妻祭のフィナーレは後夜祭のファイアーストーム

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