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記事2002年10月3日 1862号 (1面) 
教育の課題と基本的方向性
中教審基本問題部会が素案を審議
10月中に中間報告とりまとめ
豊かな心、創造性に富む人間教育の目標に
 教育基本法の見直しと新たな教育振興基本計画の検討を進めている中央教育審議会の基本問題部会(部会長=鳥居泰彦・慶応義塾学事顧問)は九月二十日、東京・千代田区内のホテルで十四回目となる部会を開き、十月中に公表する「中間報告」の第一章「教育の課題と今後の教育の基本的な方向性について」の素案を審議した。
 素案は、教育の現状と課題、二十一世紀の教育が目指すものをまとめたもので、その中では(1)自己実現を目指す自立した人間の育成(2)豊かな心と健やかな体を備えた人間の育成(3)知の世紀をリードする創造性に富んだ人間の育成(4)「新たな公共」を創造し、二十一世紀の国家・社会を主体的に形成する日本人の育成(5)国際社会に生きる教養ある日本人の育成を今後の教育の目標としている。
 またこれら事項の実現には、生涯にわたる学習機会の充実、一人ひとりの個性に応じて、その能力を最大限に伸ばす学校教育、知の世紀をリードする大学改革、家庭や地域の教育力の向上を特に重視しなければならない課題と指摘している。
 この日の部会では、素案に対して委員から、「今なぜ(新しい)教育基本法が必要なのかに対する答えが冒頭に必要だ」「なぜ今(新しい)教育基本法が必要か分からない。これまでの答申と変わらない印象だ」「柱立ては良いが、問題提起が激しすぎる」「これまでの教育改革への反省がない。国と地方の財政の逼迫という問題も出ていない」「(教育の建て直しには)社会的システムの改革が必要なのか、個人の意識改革が必要なのか、明確に区分けされていない。これが説得力のなさに繋がっている」などさまざまな意見が出された。
 これに対して鳥居会長は、委員から指摘された事項の修正については、正副会長、事務局に一任してほしいとし、修正したものを九月三十日の総会に提出し、審議する方針を明らかにした。中間報告は、この日の素案を基にした第一章に始まり、教育基本法の在り方を示す第二章、教育振興基本計画に盛り込むべき施策の検討の視点などをまとめた第三章で構成される予定だ。鳥居会長は中間報告の段階では第二章と第三章は要項的なものにとどまるとの見通しを明らかにした。
 また今後の日程に関して文部科学省は、十月中に部会、総会を開き、「中間報告」を取りまとめ、十一月に教育関係・経済関係団体等から意見聴取を行い、地方公聴会(一日中教審)、パブリックコメントによる意見募集を実施し、十一月末に審議を再開し、その後答申を取りまとめる考えを明らかにした。
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