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記事2002年10月3日 1862号 (2面) 
ボランティア教育担当教職員研修会
全国大学・短大実務教育協会
ボランティア実務士称号設置
カリキュラムガイドラインなどで講演
全国大学・短期大学実務教育協会(和野内崇弘会長=札幌国際大学理事長・学長)は九月二十、二十一の両日、東京・代々木の国立オリンピック青少年総合センターで「ボランティア教育を担当する教職員の研修会」を開催した。同協会ではボランティアに対する関心の高まりに対応し、今年四月からボランティア実務士、国際ボランティア実務士の称号を設置。研修会には両称号を申請、または申請予定の大学・短大のボランティア科目担当教員らが参加した。

 初日、開会に当たって菅野英孝副会長(福島学院短期大学理事長)は「全国で最も大きな称号認定団体である本協会が組織的にボランティア教育の称号認定事業を始めることは画期的なこと」だとあいさつ。韓国の専門大学を視察してきたことにも触れ、その先進的な教育体制を高く評価、「国際力のある大学をつくらないと日本はアジアからも軽んじられる。皆さんには日本のボランティア教育の先覚者となっていただきたい」と述べた。
 研修会では遠藤克弥・東京国際大学教授が両称号認定制度設置の趣旨について説明。ボランティア実務士はボランティア活動を自ら実践し、新しい活動も創造、コーディネートできる能力を証明するもの、国際ボランティア実務士は国際ボランティア組織の中で運営やボランティア・コーディネートを担うことのできる専門職を養成しようとするものだと位置づけた。東京国際大学で実際にボランティア教育に携わっている遠藤教授は、海外へ学生を引率してボランティア活動にも出掛けており、こうした実践に基づいて「地元NGOとボランティアとの連絡役となれる、リーダー的役割を果たしてくれる人材が必要。こうした学生がいることでボランティア活動が効果的に進めることができる」と述べた。
 両称号の認定に関する規程、カリキュラムガイドラインについては、石田和久・福島学院短期大学講師が説明。協会が定めた規程では、社会人が科目等履修生として称号単位を取得できることや他大学で履修した科目単位も認定されることなどを述べた。依田博・京都女子大学教授は運用の問題について説明。これからボランティア実務士の称号導入の申請を行う大学に対して、ボランティア活動の現状や社会的価値を理解させることを目指した必修科目の「ボランティア概論」については大きな位置づけで設置をお願いしたい、と述べた。国際ボランティア実務士の必修科目「海外ボランティア実習」については、実習終了後の実習者の実習リポートおよび受け入れ側による実習評価記録の提出を重視していると述べた。
 国際協力事業団(JICA)の辻岡政男・青年海外協力隊事務局調査役はボランティアの意義・目的について講演。青年海外協力隊については、多くの参加者から「教えることより学ぶことの方が多かった」と高い評価を得ていることを紹介。「日常の生活の中から自然な形で始まるのがボランティア。各国にはそれぞれのボランティアの形がある」と述べた。

研修会2日目に行われた「国内ボランティア実習」のグループワーク

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