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記事2002年10月23日 1867号 (1面) 
教育基本法振興計画素案 中教審基本問題部で提示
個人の能力、公共心等基本に
私学の重要性踏まえた規定も提案
中央教育審議会(会長=鳥居泰彦・日本私立学校振興・共済事業団理事長)が、昨年十一月以降検討を続けている教育基本法の見直しと「教育振興基本計画」の新規策定に関する審議の中間報告素案が、十月十七日、初めて明らかになった。同日、都内で開かれた同審議会基本問題部会で提示されたもの。それによると一人ひとりの個性に応じてその能力を最大限伸ばす視点、「公」に主体的に参画する意識や態度の涵養の視点、日本人のアイデンティティー・国際性の視点などから現行の教育基本法については見直しが必要としている。
 この日提示された「新しい時代にふさわしい教育基本法の在り方について」(素案)と「教育振興基本計画の在り方について」(素案)は、七月の論点整理を基にしたもの。
 このうち教育基本法の在り方についての素案は、教育基本法見直しの必要性、具体的な見直しの方向で構成されており、教育の基本的理念としては、▽個人の能力の伸長、創造性の涵養、個人の自己実現、努力や向上心▽感性、自然と環境とのかかわり▽社会の形成に主体的にかかわる「公」の意識、公共心、道徳心、倫理観、自律心、規範意識▽日本人としてのアイデンティティー(伝統、文化の尊重、郷土や国を愛する心)と、国際性(国際社会の一員としての意識)▽生涯学習の理念▽時代や社会の変化に対応した教育▽職業生活との関連の明確化の必要性を指摘している。
 また義務教育に関しては、就学年齢について、発達状況の個人差に対応した弾力的な制度、学校区分に関しては小学校六年間の課程の分割や幼小、小中、中高など各学校種間の多様な連結が可能となる仕組み、保護者の学校選択、教育選択などの仕組みの検討も必要としている。さらに学校、家庭、地域社会の役割等に関しての規定、国家、社会の主体的な形成者としての教養の重要性も指摘している。宗教教育については引き続き検討する方針。私立学校に関しては、その大きな役割から私学振興の重要性、それをふまえた規定とするよう求めている。
 一方、教育振興基本計画に関しては、盛り込むべき施策の基本的方向としては、確かな学力の育成、個性、才能を伸ばす教育の実現、科学的素養を育成する教育の推進、柔軟な教育の仕組みの導入、優れた教員の養成・確保、教育施設・設備等の整備・充実、私立学校教育の振興、豊かな心の育成、自立心、公共の精神の育成、「知」の世紀をリードする大学改革の推進などを挙げている。中教審では今後も検討を続け、十一月にも中間報告をまとめる予定だが、部会では郷土や国を愛する心の育成等では反対意見もある。また国民の意見も聴取する。教育基本法の見直しに伴う、学校教育法等関係法令の見直しや、同計画に盛り込むべき施策については、同審議会の関係分科会等で検討する。
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