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記事2002年10月23日 1867号 (3面) 
関東地区大学教育研究会が大会
協同学習法の可能性で講演
学生参画型教育林教授基調提案
関東地区大学教育研究会(多賀谷一照委員長=千葉大学副学長)は九月二十八日、東京・江古田の武蔵大学で「知識創造と学生参画型教育」をテーマに第十九回(平成十四年度)大会を開催した。大会ではわが国の大学でも従来の講義一辺倒から多様な授業方式の工夫・開発が広がっている中、学生が授業づくりヘと参加する「学生参画型授業」について考えようと、アメリカの大学の実情を踏まえた講演やミニワークショップが行われた。
 大会では冒頭、実行委員長を務める林義樹・武蔵大学人文学部教授が「今、なぜ学生参画型の教育なのか」と題して基調提案。林教授はこれまで学生を自主的、積極的、創造的に授業に参加させるための理論と技術の研究・開発を行ってきた。「学生の授業への参加は進んでいるが、教師がつくり出したフィールドに学生を組み込ませることを越え、学生が授業プロセスに入れるように力を付けてあげないといけない。」と強調。そのうえで「参加」を「参集(Attendance)」「参与(Collaboration)」「参画(Commitment)」の三つの段階に分け、第三の段階である「参画」は参加者が参加する場の「場づくり」に責任を持って参加することだと指摘した。
 招待講演として、高橋一郎・創価大学経済学部教授が「CooperativeLearningの可能性」と題し、ミネソタ大学(アメリカ)で「協同学習法」のワークショップを受講した経験を踏まえ、その特徴と実践に向けて話した。高橋教授は自分の学びが仲間の役に立ち、仲間の学びが自分の役に立つというのが「協同学習法」の考え方であるとし、(1)互恵的な相互依存関係(2)個人のアカウンタビリティーの保証(3)対面的で促進的な相互交流(4)社会的技能(5)協同活動評価を協同学習の五つの要素として指摘した。協同学習を進めるに当たっては、学校でのいわば擬似家族の役割を担うベースグループをつくり、教師は学生にグループを指定し、教材を与えて役割を指示すると説明。ベースグループは課題を完成させ、学習を進める上で支え合い、助け合うものであるとその目的を位置づけた。また、教員は学生が学習を通して成長することを願っていること、積極的な学び合いを期待していることなど、その願いを開示するよう求めた。大会には大学生も「協力者」として参加。武蔵大学の学生参画授業が、学生による企画・進行でミニワークショップとして開かれた。

大会で基調提案を行う林教授

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