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記事2002年10月13日 1864号 (2面) 
概算要求、今後の施策を説明 都道府県私立学校主管部課長会議
教育改革への理解要請
都道府県でも助成増の努力を
内部監査機能の充実策検討へ
文部科学省は九月二十七日、東京・九段の日本私立学校振興・共済事業団九段事務所講堂で平成十四年度第一回都道府県私立学校主管部課長会議を開催した。この会議は、同省が来年度概算要求で予算を要求している私学関連事業の内容や今後実施を予定している施策等を、都道府県私学主管部課に説明し、協力を要請するためのもの。
 この中で玉井日出夫・私学部長は、現在、行われている教育改革は、社会構造自体が先進諸国を含めて大きく変ろうとする中での改革で、各国とも基礎学力の向上、社会性の育成に積極的に取り組んでいることなどを説明し、同省が進めている教育改革への理解を要請した。その中で教育基本法の見直し、教育振興基本計画を検討している中央教育審議会の議論に特に注目してほしい、とした。また私学助成に関しては、税財源を含めて国と地方のあり方が見直されるなどこれまでにない構造の中で検討されていること等を報告、わが国では私学教育が諸外国では見られぬほど公教育に大きなウエートを占めていることから、私学助成への一層の理解を要請した。さらに私学行政に関しては、社会の変革で行政の関与が事前チェックから事後チェックヘと大きく転換しつつある中、大学等の設置認可を弾力化するとともに、法令違反状態の大学に対して段階的な是正措置が行えるよう、次期臨時国会に学校教育法改正案を提出することなどを明らかにした。さらに学校法人にとっては内部監査機能の充実や、財務状況の公開などが必要であると指摘、十月から大学設置・学校法人審議会で高校等の問題も含めて学校法人のガバナンス機能の向上について検討を始めることを明らかにした。
 続いて山根徹夫・私学行政課長は、私立小・中学校の設置基準の新設に合わせて都道府県における設置認可審査基準や私学審議会の運用の見直しを要請、また私立学校に関する寄付税制の概要を説明、寄付税制の拡大を財政当局に要望していることなどを報告し、合わせて私立学校に対し寄付募集の努力を促すよう要請した。さらに次期臨時国会に日本私立学校振興・共済事業団法の一部改正案を提出することを明らかにした。
 栗山雅秀・私学助成課長は、平成十五年度概算要求で新規に要求した私学関係予算の概要を説明したが、その中では、読書指導、学校安全管理、IT教育の推進などの充実を図ること、また私立学校施設のバリアフリー化、耐震補強が進められるよう予算の増額も要求していることなどを明らかにした。
 その上で都道府県の私学関係予算については、「国が私学助成を増やした分、予算を減らしているところもあるが、それでは意味がない」とし、助成増額へ理解を求めた。
 石井稔・私学部参事官は、一部の学校法人に不適切な運営が見られるとして、その要因として、(1)学校法人役員等の関係法令・学校法人会計制度に対する認識の欠如、(2)理事会・評議員会等の法人運営組織や監査体制の不備・機能の低下、(3)理事者側と教学側の連携・意思疎通の不足、(4)長期的な見通しを持たないまま財政運営を行った結果、財政難を招いた、の四点を例示。そのうえで問題の発生を未然に防ぐため、平成十四年度から学校法人運営調査委員を増員し調査対象法人も増やすなど指導体制の充実を図ったことを明らかにした。また私立大学における入学者選抜の公正確保に関する通知を近く全大学に発出すること、学校法人会計基準については、今後幅広く意見を得ながら検討していくこと、経営困難に陥った学校法人への指導のあり方については現在、検討を続けていることを明らかにした。
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