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記事2002年10月13日 1864号 (7面) 
平成15年度概算要求―私学関係施設設備予算
環境に配慮、学習条件改善
バリアフリー推進
文部科学省の平成十五年度私学関係概算要求には、時代のニーズを反映して施設のバリアフリー化、環境に配慮した施設づくり、学習環境の快適化などを目的とした補助金が盛り込まれている。ここでは私立高校等を中心にそうした補助金の来年度の要求概要を紹介する。(編集部)


 私立高校等に対する国の助成の中核となる私立高等学校等経常費助成費補助金(要求額=一千五十七億五千万円)の一般補助分には、「安全管理」「衛生基準」といった事業が補助項目として加えられている。この「安全管理」分とは、数年前、大阪の国立大学附属小学校で起きた衝撃的な児童殺傷事件を受けて、学校の安全管理を目的に設けられたもので、内容は平成十四年度に引き続いて警備員の配置を進めるもの。また「衛生基準」分は、新たに教室内のホルムアルデヒドといった有害物質の検査費用に対して補助するもので、十四年度予算からはプールの水質検査費用が補助対象となっている。
 「私立高等学校等施設高機能化整備費補助」(要求額=二十二億三千九百万円)では、冷房など空調設備の整備についても平成十五年度から新たに補助対象とするよう要求している。
 冷房など教室の空調設備に関しては、私立学校で校舎の改築時などに導入する学校が見られるが、空調設備を持たない学校も少なくない。今や家庭ではごく当たり前のものだが、最近になって児童生徒の学力低下への懸念が国民の間に広がるにつれ、学習環境の整備がよりクローズアップされるようになった。整備に当たっては、地球環境に配慮して夜間電力を活用した空調設備が公立学校において年次計画で導入することが決まり(要求)、私立学校でも整備が要求されたものだ。
 またこの高機能化補助金では、近年、学校が生涯学習機関の機能を果たし、年齢の高い人の登校も考えられることなどから施設のバリアフリー化を推進する事業もあり、さらに校舎内外の緑化、雨水の利用などのいわゆる“エコスクール”の整備も補助対象としている。さらにこの補助金の対象事業の大きな柱の一つが地震に備えて耐震診断、耐震補強などを行うものだ。大規模な地震の発生が各地で予測されている状況の中で、こうした取り組みは緊急を要する課題。それだけに文部科学省も十四年度に比べて予算を一億円増額する意向で、この補助金全体の約半分に当たる十億円を要求している。
 こうした環境への配慮や学習条件の改善等を目的とした事業に対しては、補助金のほか、日本私立学校振興・共済事業団による融資事業も設けられており、またその資金を借り入れた場合、利息の一部を補てんする利子助成も要求されている。


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