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記事2002年1月3日 号 (9面) 
ユニーク教育 (103) ―― 柏木学園高等学校
定時制通信制併置型の総合学科
「産業社会と人間」体験学習と討論
進路への自覚深め職業迫ヘ育てる




 柏木学園高等学校(柏木照明理事長、大場滋校長、神奈川県大和市)は平成十四年度から、神奈川県の私立高校では初めての、定時制と通信制を併置した総合学科をスタートさせる。これに伴って平成九年四月に開設した普通科と商業科は吸収合併される。定時制通信制併置の総合学科開設は同学園の「総合開発計画21」の一環として行われるもの。
 「働きながら学びたいという社会のニーズにこたえて、生徒が学びやすい、やる気をおこしやすい、卒業しやすい仕組みを考えました」(柏木理事長)
 総合学科の必修科目として学ぶ「産業社会と人間」では体験学習や生徒間の討論などを通して、将来の進路への自覚を深め、職業選択に必要な能力を育てることを狙いとしている。同学園としては、単位制高校にすることで、建学の精神である実学を学び、より高い知識を備えた有能な人材の育成を目指す。
 まず、定時制課程ではI部(午前九時〜)、II部(午後一時〜)、III部(午後五時〜)の三部制授業を展開して、教養文化と国際文化の二つの系列を通して有効時間を活用した授業展開をする。教養文化系では総合英語、英語理解、英語表現、英語ライティング、数学II・III、世界史、日本史、物理、化学、生物、児童文化などの専門科目群を学び、教養を深め人間性を磨く。国際文化系では情報産業と社会、ネットワークシステム、異文化理解、国際ビジネス、スポーツ理論、ビジネス情報などの専門科目群を学び、グローバルな視点から学力を高める。
 また、通信制課程では生活文化、情報商業、国際経済の系列に分け、学習目標に合わせた面接授業を採用する。生活文化系では、基礎・基本の確立を目指し、円満な人格形成を目標とする。情報商業系ではコンピュータを駆使した商業のエキスパートの教育を、国際経済系では商業英語を身につけ、社会常識の育成を目的とする。
 単位制高校としての定時制通信制総合学科は七十四単位以上の、卒業に必要な単位を修得すれば三年で卒業できる。三年間で必要な単位が修得できない時は定通併修制度を活用し、単位修得の上卒業することができる。定通課程共に三部制の時間帯の中で、フレキシブルな時間を選択して、学習する。また通信制併修時には、休講日の土曜日や平日のIII部(午後五時〜)の時間帯が活用できる。一般的に通信制スクーリングは土、日曜日を利用して行われるが、同校では平日面接授業が開講されるため、柔軟な授業対応が展開できるのが特徴だ。
 同校では「安、楽、交、活」(安全、楽しく、交流、活いき)をキャッチフレーズとしているが、その一環として、昨年から阿波踊り部を作り、「神奈川大和阿波踊り大会」に参加するなど、地域との文化交流を積極的に進めている。柏木学園は昭和二十一年、戦後の混乱の中で「珠算研究柏木塾」から出発し、都筑ヶ丘幼稚園をはじめ、実業専門学校、大和商業高等専修学校を有するまでに至った。昨年、学園創立五十五周年を迎え、就職や進学で着実に実績を積んできている。
 柏木理事長は「どのような時代が来ようとも、基礎学力と職業教育を大事にし、生徒が自らの夢と希望を実現するために、一人ひとりの個性と豊かな可能性をはぐくむ人間教育を目指す。そして、反省がないところに進歩はありませんから、目標、実行、反省を繰り返し、教育に志した初心を忘れずにやっていきたい」と抱負を述べる。


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