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記事2002年1月3日 号 (2面) 
私大連盟市民公開講座
奥島会長が基調講演、シンポも
21世紀の私大の役割
 日本私立大学連盟(奥島孝康会長=早稲田大学総長)は昨年、創立五十周年を迎え、記念事業の一つとして、全国六つの地区で一般市民を対象とした「市民公開講座」を開催した。このうち、東京では十二月十日、市ヶ谷の私学会館で「21世紀における私立大学の役割」をテーマに開かれ、奥島会長の基調講演とシンポジウムが行われれた。

 奥島会長は日本ではこれまで高等教育の八割以上を私学が担ってきたことによって、国は高等教育への公的支出を少なくすることができたと指摘。日本が二十一世紀において知的存在感のある国であろうとするならば、欧米並みに教育への公的支出を増やすことが必要だと強調。日本全体として欧米と伍していく力を付けていくためには、私立大学の役割は無視できないとした。
 シンポジウムには奥本英一朗・日本証券業協会会長、佐伯弘治・日通学園学園長、志村尚子・津田塾大学学長が講師として出席。司会は清成忠男・法政大学総長が務めた。奥本氏はかつては大組織が個人を支えていたが、これからは個人が組織を支える時代だとし、集団主義型の人材を育ててきた従来の教育では対応できないと指摘。知的創造力のある人材育成や社会人がスキルアップを図るための教育ニーズに弾力的に対応していくには国立大学では難しく、私立大学に期待するとした。佐伯氏は、高い知識と判断力を持った中間層を輩出してきたことなど私立大学がこれまで果たしてきた役割を挙げ、もはや大学が国立でなければならない理由はなくなったと指摘。国立大学の独立行政法人化には何の変革も期待できないと述べた。私立大学はそれぞれが個性的でなければならないとし、小中規模の私立大学でも教育研究の特色を一、二点に絞ることで、社会の中で高い役割を果たしていけると指摘した。また、いま私学人自身の姿勢が問われているとし、従来の年功序列型人事を改め、情報開示と説明責任をまっとうしなければならないと述べた。志村氏は私立大学は教育に志のある創立者によってつくられた高等教育機関であることから、生身の人間のビジョンに基づいていることが大きな特質だと指摘。そのうえで、女子大学の役割については、男性主導の意思決定システムは不完全であり、歴史的・社会的に女性の経験・感性を生かした対応が求められているとして、そこで女子大学の果たす役割は大きいと述べた。また、日本の教育制度は硬直化していて、柔軟性・流動性に欠けるとし、柔軟な試みを私立大学が率先して行うことで、国公私含めて活性化が図れると指摘した。
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