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記事2002年1月3日 号 (1面) 
”私学助成総額4,454億円”
私学振興に配慮した14年度予算 文部科学省
前年度比2.2%増
安全機能強化校舎改造が補助対象に
 文部科学省の平成十四年度予算案は昨年十二月二十四日に決まったが、私学助成関係予算の詳細が、このほど明らかになった(12月23日号で一部既報・2面に経常費補助の内訳表)。それによると私学助成関係予算の総額は四千四百五十四億一千万円で前年度に比べ二・二%の増額となった。政府全体の一般歳出の総額が前年度に比べマイナスとなる中での私学助成関係予算の増額は、私学教育振興の重要性を反映した結果といえる。

私立高校等経常費補助977.5億円

 このうち私立大学等経常費補助金は、総額で前年度比一・八%増の三千百九十七億五千万円となったが、その内訳は、一般補助が二千二百二十五億四千九百万円(前年度比一・三%減)、特別補助が三百二十七億二千万円(同六三・一%減)、私立大学教育研究高度化推進特別補助が六百四十四億八千百万円(新規)。私立大学教育研究高度化推進特別補助は世界水準の私立大学づくりを目指す観点から、意欲と可能性に富んだ私立大学への重点的支援を行うもので、文部科学省による直接助成となる(それ以外は日本私立学校振興・共済事業団を通じて)。このうち大学院高度化推進では、大学院整備重点化経費、ティーチング・アシスタント経費や専門大学院等支援経費などが、学術研究推進では、ハイテク・フロンティア等経費、産学連携研究推進経費、共同研究経費などが、大学教育高度化では、高等教育研究改革推進経費、教養教育改革推進経費、海外派遣などの経費が、高度情報化推進では、教育学術情報ネットワーク、サイバー・キャンパス整備経費等が盛り込まれている。
 また、共同研究経費には特に地域との連携に配慮して新たに短大分として一億円が、高等教育研究改革推進経費では短大分が前年度に比べて三億円増額されている。
 特別補助では、少人数教育の推進のための補助が五億円(前年度比三三・三%)増額したほか、地方高等教育機関の活性化への補助も同様に一二・三%増額している。また社会人受け入れを目的とした教育訓練講座への補助が新設された。
 一方、私立高等学校等経常費助成費補助金は、前年度比六・〇%増の九百七十七億五千万円となった。
 このうち一般補助は八百八十八億五千二百万円で前年度比五・五%の伸び。特別補助は八十八億九千八百万円で一〇・三%の伸びとなった。一般補助の中の特別分は、十三年度までの補助項目をもとに、(1)コンピュータ整備及びインターネット接続の推進(2)IT教育人材の育成・高度化(3)少人数教育等きめ細かな学習指導の推進(4)教員の能力開発及び資質の向上に再編され、加えて(5)体験学習の推進の補助項目が新設された。(1)は普通教室、情報教室等におけるコンピュータのレンタル・リース経費、インターネット経費を対象にしたもの。(2)は教員の情報研修への派遣、学校における教育用コンテンツや教材の研究開発、学校における情報技術者の活用経費等への補助事業。(3)はティームティーチングやティーム保育、少人数教育を目的としたもので、(4)は研修などへの教員の派遣、(5)はボランティア活動、自然体験活動、インターンシップ等を推進するための補助事業。
 特別補助のうち教育改革推進特別経費に関しては、これまでの社会人講師の活用を社会人・補助教員等の活用に改め、対象者数を三倍強に増員した。
 また幼稚園の預かり保育推進事業も一・五倍に増やし、補助対象園を十三年度の一・五倍の四千六百八十園とした。
 経常費補助以外では、十三年度までの私立高等学校等マルチメディア教育環境整備モデル事業が廃止され、代わって私立高等学校等IT教育設備整備推進事業が新設された。これは私立の高校、中等教育学校、中学校、小学校、特殊教育諸学校においてコンピュータを使うなどして、各教科等で私学の特色を生かしながらIT教育を実施するために必要な設備整備へ補助するもの。補助対象事業は五百万円が下限、四千万円が上限で補助率は二分の一以内。予算額は九億二千五百万円。
 また私立高等学校等施設高機能化整備費補助は前年度比二億円減の二十億八千九百万円の予算額。前年度に引き続き、(1)施設高機能化(身障者に配慮した施設やコンピュータルーム等の整備)(2)防災機能強化(耐震診断・補強工事等)(3)私立学校エコスクール整備推進モデル事業(太陽光発電、トイレ節水システム等)の三本立て。このうち(2)では小学校での児童殺傷事件などを受け、新たに安全機能強化のための校舎施設の改造工事が補助対象となった。予算額は(1)が九億七千七百万円(2)が九億円(3)が二億千二百万円。
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