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記事2001年9月3日 22号 (2面) 
大学の研究活用し新産業創出
早急な施策を提言
科技・学術審 産学官連携委
 大学の研究成果を活用して、新産業を創出する産学官連携の在り方を検討してきた「産学官連携推進委員会」(末松安晴主査=国立情報学研究所長)はこのほど、中間取りまとめを発表した。
 同委員会は科学技術・学術審議会技術・研究基盤部会の下に置かれた組織で、今年五月から七月まで五回の会議を開いてきた。中間取りまとめでは、若手研究者らが立ち上げたベンチャーに研究開発資金の提供などを行う「大学発ヤングベンチャー・スタートアップ事業(仮称)」など、早急に取り組む施策が列挙されている。
 「中間取りまとめ」は、これまでインターンシップに代表される教育面での連携やTLOによる技術移転も行われてきたが、大学の研究成果を活用したベンチャー起業件数が欧米諸国に比べて少ない、大学が研究成果を主体的に企業へ移転するシステムがつくられていないことなどを問題点として指摘。
 今後、大学発の新産業創出を促すためにいくつかの施策を提言した。
 まず産学官関係者による対話の場が必要だとして「産学官対話会議(仮称)」の設置を検討すべきだとした。民間からの教育研究資金の流入を活発化するため、特に私立大学が受ける寄付金や大学が行う受託研究を充実させるための環境整備についても検討を促している。
 大学発ベンチャーを促進するための方策として、大学発ベンチャー対象のファンド(投資基金)と公的資金原資のファンドの連携を進めること、若手研究者、ポストドクトラル研究者、大学院生などが大学で生じた研究成果を活用してベンチャーを立ち上げた当初の研究開発資金提供や国内外の優れた人材による法務・契約実務、研究補助、経営への支援を行う「大学発ヤングベンチャー・スタートアップ事業(同)」の創設を提言。
 また、産学官連携に取り組むすべての大学で、一本化された対外窓口と関連部署の連携体制や学内の産学連携相談体制を整備するなど、組織面での強化も図るべきだとした。
 このほか、▽理工系学部における起業家育成に関する授業科目の開設▽国立大学で週一日程度、兼業を可能とするルールと運用の明確化▽大学の特許化推進のための特許制度の改善などを取り組むべき課題として挙げている。

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