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記事2001年9月3日 22号 (2面) 
私情協主催 情報教育推進理事長・学長会議
CCC構想を具体化へ
ネットワークによる大学教育
教育改革に貢献 決議
 私立大学情報教育協会(戸高敏之会長=同志社大学工学部教授)は八月四日、東京・西新宿の工学院大学新宿キャンパスで「第十回情報教育推進のための理事長・学長等会議」を開催した。テーマは「高等教育の質的向上とネットワークによる大学教育コンソーシアム」。昨年度の同会議では、情報技術を活用して大学教育の質を高めるために、コンテンツを提供し合うことを決議したが、今回の会議では、ネットワーク上にサイバー・キャンパス・コンソーシアム(CCC)を構築すべく、その実現に向けた当面の課題について討議。CCC構想を具体化、教育改革に貢献することを決議した。
 私情協では、昨年十一月にコンピュータ、ネットワークを活用した高等教育の実情について日米の大学間で情報交換することを目的に、「第一回日米大学マルチメディアセミナー」を開催したが、この日の会議では、このセミナーに参加した五人の教員らがセミナーの模様を報告し、日本の私立大学が取り組むべき課題を整理した。各報告者とも、ハーバード大学、マサチューセッツ工科大学、スタンフォード大学などを視察した結果、e―ラーニングが可能なITインフラの整備と各授業科目でコンテンツの充実が図られており、教員の授業内容の高度化に向けた積極的な対応が目立ったと指摘。翻って、日本の大学では一部の教員の努力に支えられて教育の情報化が進められているのが現状であるとの反省の声が上がった。アメリカの各大学では、教員、研究室単位での交流には前向きであり、日米間の連携に期待が持てるとの報告があった。
 CCCの発足に向けた全体討議では、CCCの設立によって、一大学ではなし得ない教育改善を推進できるというメリットがあるとされた。連携の対象は当面、私情協加盟の大学、短期大学の中から希望を募るが、可能であれば外国の大学にも参加を働き掛けることになった。連携の体制は大学がネットワーク上で協力可能な範囲で参加できるようにし、事業実施に伴う実際的な支援組織としては、参加校の中から拠点大学を募って、「サイバー共同支援センター」を設置して実施。具体的な事業内容として、シラバスとITを活用した授業運営情報の共有、演習・練習問題、試験問題の共同使用、教材・素材の共同使用、授業の支援および共同・合同授業などが挙げられている。情報環境はインターネット・オンデマンド方式を共通化する。
 また、ネットワーク上で大学の連携が円滑に行えるよう、私情協のウェブサイトにポータルサイトを設け、それを窓口に大学とのオンライン接続が図れるようにする。十一月には実験を始め、来年度からの本格実施を目指す。

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