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記事2001年9月3日 22号 (1面) 
中教審スポーツ・青少年分科会 体力向上で意見発表
体力ある子ない子で二極化進行
 中央教育審議会のスポーツ・青少年分科会は八月二十七日、東京・霞が関の文部科学省分館で第五回総会を開いた。前回総会に引き続き、子どもの体力向上に向けた取り組みについて、委員が意見を発表した。この日、意見発表を行ったのは、浅見俊雄、衞藤隆、小林寛道、増田明美、綾部美知枝の五人の委員。委員の間からは、幼児期における子どもの体力格差が成長後もそのまま続いている、子どもの中で体力のある子とない子の二極分化が進行している、などという指摘が出た。
 衞藤委員(東京大学大学院教育学研究科教授)は東京大学大学院教育学研究科身体教育学コースがこれまで三十年以上にわたって、附属中等教育学校と共同で年に一度、体力・運動能力測定を行ってきたデータを紹介。データからは、最も運動能力に優れたグループの子どもでは、年々、体力・運動能力は向上する傾向にあるが、一方で極端に体力・運動能力が低い子どもが増加していると、二極化の進行を指摘。各自の能力に合った目標を設定しながら、運動・スポーツについてのポジティブな意識を育てていくことが重要ではないかと問題提起した。
 小林委員(東京大学大学院総合文化研究科教授)は幼少年期の身体活動が発育期の体力・運動能力に及ぼす影響について、幼稚園・保育園児が中学三年になるまでの追跡測定調査を実施したが、この測定結果から、幼児期に体力・運動能力水準が高い人は、中学・高校生期においての発達も顕著であると指摘。近年の青少年の体力低下要因として、一九九〇年に改訂された幼稚園教育要領において園児に対する積極的な体育活動の指導が否定され、「自由遊び」を主とする教育方法が採り入れられたことを挙げた。このほか、浅見委員(日本体育・学校健康センター国立スポーツ科学センター長)は総合型地域スポーツクラブと地域の学校との連携の中で、子どもの体力問題の解決を期待したいとし、増田委員(スポーツジャーナリスト)は企業の実業団チームが地域を巻き込んでいこうとする取り組みの中にこの問題の理想的方向性を見いだしていると述べた。また、綾部委員(清水市サッカーのまち推進室長)は、同市で学区を単位とした地域クラブを結成し、気軽に子どもがサッカーに親しめる環境づくりに努めていることを挙げ、地域の子どもは地域で育てていこうとする姿勢が重要だとした。

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