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記事2001年9月3日 22号 (1面) 
私立高等学校等経常費助成費補助金1千億円の大台に
文科省が14年度概算要求
私大等も大幅増
構造改革特別要求 9月中に内閣で調整
 文部科学省の平成十四年度私学助成関係予算概算要求の概要が、このほど明らかになった。それによると私学助成関係予算の概算要求総額は四千七百七十億六千万円で、前年度比九・四%、四百十一億円の増額。このうち私立大学等経常費補助金は前年度比二百五十七億円増の三千三百九十九億五千万円、私立高等学校等経常費助成費補助金は前年度比百二十一億円増の千四十三億五千万円。いずれも例年を大きく上回る増額要求だが、これは「構造改革特別要求分」が含まれているため。構造改革特別要求分は九月中に内閣官房などによる調整が行われ、九月末に要求額が決定することになっている。
 構造改革特別要求分は、経済財政諮問会議がいわゆる骨太の方針の中で示した人材育成・教育や世界最先端のIT国家実現など七つの改革プログラムに予算を重点配分するための要求枠。ただし構造改革に資する度合いなどを内閣に置かれる諸会議や内閣官房などが検討、調整を行うことになっている。
 私立大学等経常費補助金要求額三千三百九十九億五千万円の内訳は、一般補助が二千二百二十五億四千九百万円(前年度比三十億円減)、特別補助六百二億百万円(前年度比二百八十五億円減)、私立大学教育研究高度化推進特別補助五百七十二億円(構造改革特別要求分)。このうち私立大学教育研究高度化推進特別補助は新規の要求で、大学院の整備重点化、先導的先端的学術研究の推進、学部教育の質の向上や教育システムの改善等を目的としたもの。
 その内訳は(1)大学院高度化推進特別経費(要求額三百六億四千八百万円)(2)学術研究推進特別経費(要求額百三十四億八千万円)(3)大学教育高度化推進特別経費(要求額百三十億七千二百万円)。
 このうち新規の産学連携研究推進事業、サイバーキャンパス整備事業は、研究費等やネットワーク維持管理費等に対する補助と同時に、施設、装置、設備関係の補助も用意されており、一体的な支援体制を組む。
 一方、私立高等学校等経常費助成費補助金要求額千四十三億五千万円の内訳は、一般補助九百五十四億五千二百万円、特別補助八十八億九千八百万円。一般補助の中には、構造改革特別要求分として新たに「私立高等学校等教育活性化特別事業」(要求額百六十三億円)が含まれている。この事業は、人材大国を目指して私学教育の活性化を推進するもので、コンピュータ整備及びインターネット接続の推進〈レンタル・リース経費〉、IT教育人材の育成・高度化、少人数教育等きめ細かな学習指導の推進、教員の能力開発・資質向上、体験学習の推進からなる。
 また特別補助の教育改革推進特別経費では、預かり保育推進事業の予算額が前年度比一・五倍に大幅増額されたほか、これまでの「社会人講師の活用」事業が、新たにより幅の広い「社会人・補助教員等の活用」事業に拡充されている。
 同補助金の生徒等一人当たり要求単価(特別分含む)は、高校(全日制・定時制)で五万千二百六十円、中学校で四万七千三百十円、小学校で四万四千三百六十円、幼稚園で二万千百五十円。
 高校等関係ではこのほか、これまでのマルチメディア教育環境整備モデル事業が廃止され、新たに「私立高等学校等IT教育設備整備推進事業」(要求額二十億円、構造改革特別要求分)となった。これは私立高校等におけるコンピュータ等IT教育に関する設備の購入費の一部について学校法人に補助を出すもの。
 このほか私立高等学校等施設高機能化整備費補助は前年度と同額の二十二億八千九百万円の要求。

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