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記事2001年9月23日 24号 (2面) 
日米短期大学国際交流セミナー
日短協・公短協共催
地域と短大の連携協議
日本、アメリカ、カナダなど学長参加
 日本私立短期大学協会(川並弘昭会長=聖徳大学短期大学部理事長・学長)は七月八日から十五日まで、二十一世紀の短期大学の在り方、地域と短期大学との連携をメーンテーマとした「第五回日米短期大学国際交流セミナー」をハワイで開催した。全国公立短期大学協会(齋藤秀晁会長=新潟県立看護短期大学長)、ハワイ・コミュニティーカレッジス・システムとの共催。日本、アメリカ、オーストラリア、カナダから百十四人の短期大学長らが参加。日短協からは川並会長以下、二十一人が参加した。
 セミナー参加者らは、力ピオラニ・コミュニティーカレッジ、ノースシアトル・コミュニティーカレッジなどを訪問。カピオラニ・コミュニティーカレッジはハワイ大学に属している七つのカレッジの中の一つ。地域社会の多様な人材ニーズに応え、健康科学プログラム、ニューメディア・アートプログラムなどの職業教育を実施、短期大学が地域社会に果たすべき役割を明確にしている実態を視察した。ノースシアトル・コミュニティーカレッジも同様に、地域社会のニーズ、多様な学生に対応した質の高いプログラム、サポート・サービスを提供している。夜間クラス、週末クラス、遠隔地教育にも力を入れ、直接、職業と結びつくようなプログラムの提供によって産業界と強いパートナーシップを築いていることをピーター・クー学長から説明を受けた。
 日短協からの参加者のうち、和野内崇弘副会長(札幌国際大学短期大学部理事長・学長)と菅野英孝常任理事(福島学院短期大学理事長)は十日、ハワイ大学イースト・ウエストセンターでプレゼンテーションを行った。
 和野内副会長は、少子化と女子の四年制大学志向によって大きな試練に立たされている日本の短期大学の実情を紹介し、そのうえで、(1)教育対象のマーケットを十八歳から幅広い年齢層に拡大し、それらの人々にも適応するような、四年制大学とは異なる教育領域と教育内容を構想する(2)二年間で、実際の社会生活に役立つ教育内容とスキル、職業生活に役立つ教育を目指すことが今後の短期大学の経営の在り方だと指摘。個々の短期大学が自らの教育資源に合った独自の教育を展開していくことで活路が開けてくると述べた。
 菅野常任理事は、日本の短期大学がいま、地域と密着しながら幅広い年齢層に対応した多様な学習機会の提供に努めるという、アメリカのコミュニティーカレッジ的方向への変化が求められていると指摘。現状では「コミュニティーカレッジ化」には▽地方自治体に短期大学を市民教育、生涯教育のために利用しようという認識がない▽文部科学省の規制が多く、多様な教育展開が不可能といった障害があるとしつつも、高等教育全体のグランドデザインの中で、コミュニティーカレッジのような役割を担うことができるよう努力していくと述べた。
 また、同日にはデービッド・ウルフ・西地区学校・大学協会二年制高等教育機関認定委員会事務局長がアメリカにおける認定過程について講演。アメリカにおける認定とは質的保証と改善、教育機関の適格性について認定するもので、非政府機関で教職員が中心となって自主的に行うものであると、その特徴を述べた。同委員会では六年のサイクルで認定を行っており、年間約二十五の主要な評価団、十五のやや小規模な評価団を編成、高等教育機関としての適格性から始まって、教育課程、学生サービス、教職員、施設、財源、運営管理など幅広く評価を行い、質的改善を促していることなど、その取り組みを紹介した。



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