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記事2001年9月13日 23号 (9面) 
ユニーク教育 (97) ―― 京都光華中学・高等学校
誇り高い国際人育成
伝統文化の教育に力を
地雷廃絶の願いを込めてCD制作寄付


 豊かな歴史が息づく洛西の玄関口、西京極に位置している京都光華中学・高等学校(山本登朗校長、京都市右京区)は、平成十四年度から学習カリキュラムを見直し、中学・高校六カ年一貫教育を明確に打ち出す。そして、「宗教教育」「特進教育」「国際・情報教育」「日本伝統文化の教育」の四つを学習内容の柱に据え、二十一世紀を担う女子生徒たちの学びのスタイルを提案している。
 柱の一つである「日本伝統文化の教育」は、日本の伝統文化を体得した誇り高い国際人の育成が狙いで、国際化時代だからこそ、日本の豊かな伝統文化を学ぼうという、未来に向けての強い意気込みが感じられる。
 日本の伝統文化として和歌、書道、邦楽、礼法、茶道、華道を正課として学ぶ。和歌では冷泉家時雨亭文庫事務局長の冷泉貴実子氏を、書道では奈良教育大学名誉教授の池田桂鳳氏を講師として招く。また、邦楽は海外での演奏経験も多く、優れた実績が注目されている野田弥生氏が、礼法は日本古武道振興会常任理事の小笠原清忠氏が指導する。
 「京都は伝統文化の発祥の地ですが、伝統文化の教育に取り組んでいる学校は少ないと思います。中学生から優れた一流の伝統文化に触れ、体験させようという試みです。また、豊かな伝統文化に触れながら、心が潤うゆとりの時間を生徒たちが持てればと考えております」(山本校長)
 中学一年ではこの四種類を正課として一週間に二時間学び、中学二年と三年では裏千家と池坊の指導による茶道、華道を加え、六種類を三時間学ぶ予定だ。高校では六種類を正課の選択科目として学ぶ。
 同校の「真実心」(自分自身を見つめ、他の人には思いやりのきもちでふるまう)という学園訓は、生徒会の平和・福祉活動になって表れている。
 「翼などないけれど会い に来たよ
 届けたい、届けたい
 一輪の花を君に」
 この曲(一部)は対人地雷撤廃を訴える絵本『地雷ではなく花をください』をテーマにしたオリジナル曲「翼はなくても」で、昨年九月の文化祭で、生徒会主催の学内オーディションで選ばれた三年生五人(ハクマイFivers)が歌った。 
 この歌は、そもそも男性のデュオ「Haru」(ハル)が、地雷撤去活動をしている市民団体「難民を助ける会」(本部・東京都品川区)のチャリティコンサートに出演した時に、地雷廃絶の願いを込めて作詞作曲した。
 生徒会は「Haru」の協力を受け、「世界中の地雷を一日も早く撤去できるように」との願いを込めて、この曲のCDを作り上げた。CDは千枚自主制作され、京都府内のCD店で販売され、収益金は「難民を助ける会」にすべて寄付された。
 生徒会の平和活動はあらゆる機会を利用して行われている。地雷で右手、右足を失いながら地雷撤去活動を続けているクリス・ムーンさんは長野冬季オリンピックの最終聖火ランナーとして知られているが、昨年十一月、地雷廃絶を訴えて「比叡山―新旭町地雷をなくそうマラソン」を行った。同校の生徒会に所属する十人の生徒も平和への願いが込められたタスキをつなぎながら、約七十キロを走り抜いた。
 また、同校の影絵人形劇部は「平和・福祉活動の一環」(山本校長)として幼稚園、小学校、養護・福祉施設などを訪問して、活発な公演活動を続けている。
 山本校長は「生徒は、見ている皆さんの感動してくださる表情に接するたびに、頑張って練習してよかった、という気持ちでいっぱいになります。さまざまな人との出会いの中で、自分自身の人間的な成長も感じることができます」と語っている。



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