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記事2001年9月13日 23号 (1面) 
世界最高水準の大学
文科省、大学改革連絡会で骨格案
トップの30大学を重点支援
二年間で10分野300専攻を選定
 文部科学省は八月三十日、東京・一ツ橋の学術総合センターで開かれた中央教育審議会と科学技術・学術審議会の合同の第一回大学改革連絡会で、「世界最高水準の大学づくりプログラム」の骨格案を示した。同省は六月に大学の構造改革プランを発表しており、この中で国公私立を問わずトップ30の大学を世界最高水準にまで引き上げるとの方針を打ち出していた。骨格案では、研究や高度な人材育成の面でポテンシャルの高い大学に思い切った重点支援を行うとしており、「構造改革特別要求」の四百二十二億円を充てる方針。 
 この骨格案では、人文、社会科学から自然科学までの学問分野を十分野に分け、二年間で十分野三百専攻程度を選定し、対象機関には五年間継続して経費を配分する。選定には、研究成果の発表状況、所属する教職員の研究水準、科学研究費補助金など競争的資金の獲得状況、学生に対する教育の状況および大学改革の状況など、教育研究活動の実績を客観的な評価指標として用いる。各大学はどの分野での審査を希望するかを申告し、将来構想やこの経費の措置によって、どのように最高水準の大学を目指すのかという計画を明らかにし、審査委員が評価する。評価基準と評価結果については公開する。評価に基づいて選定された専攻には、必要な教育研究費や人件費、設備費など年度当たり一―五億円程度を重点的に措置。さらに、国立学校特別会計や私学助成など、既存の予算も活用して支援を強化するとしている。九、十月に開かれる大学改革連絡会で意見集約を図り、分野構成や評価指標、審査委員会の構成、評価の仕組みなど具体的な実施方法を検討し、公募要項の策定にこぎ着ける。来年一月には準備委員会を発足させ、各大学に公募要項を提示する予定だ。
 連絡会では、この骨格案をめぐって「現在の(各大学の)専攻を評価するとなると、既存の(大学の)序列を再確認することになる。小さな大学にも優れた研究者がいるが、ディスカレッジされてしまう」(野依良治・名古屋大学教授)、「大学間で競い合わせることは重要だが、評価がどうなるかがポイントだ」(茂木友三郎・キッコーマン株式会社社長)といった意見が出た。私学関係の委員も「トップ30となると、数の多い私立大学は不利となる。研究の面でもハンデを負っている」(奥島孝康・早稲田大学総長)、「一つの大学が一分野を突出させることは重要だが、その意識改革ができるか」(黒田壽二・金沢工業大学学園長・総長)などと指摘した。

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